「余談として、もう一つの背景とジャガイモ」ピータールー マンチェスターの悲劇 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
余談として、もう一つの背景とジャガイモ
ヨーロッパの民主化運動や革命の背景として主に語られるのは、絶対王政や政府の腐敗、度重なる戦禍による経済の疲弊や農地の荒廃だ。
そして、民衆の間に不満が蓄積し、蜂起に繋がったと。
ただ、同時に注目して欲しいのは、地球の寒冷化だ。
1600年代半ばから80年から90年近く続いた太陽活動の低下(マウンダー極小期)、1780年代のアイスランドの火山の大噴火に伴う降灰、そして、このピータールー事件の数年前に起こったインドネシアの火山の大噴火の降灰による寒冷化だ。
この間、ヨーロッパでは食料の確保が最大の命題で、あちこちで小競り合い、そして、戦争、他国の占領、場合によっては大虐殺や魔女狩りまで行われたが、この状況でも贅沢を止められず、民衆の蜂起に繋がったのフランス革命だ。
そして、その後フランスではナポレオンが台頭し、ナポレオン戦争の後に続くのが、この映画に描かれた事件だ。
映画では前半に、ジャガイモの皮を剥く様、ポテトパイの話題、馬車にジャガイモ投げつけられる場面が散りばめられている。ジャガイモは大航海時代に南米からもたらされたのだが、食料として広がり定着したのは、1600年代半ばから続く寒冷化したこの時代だ。
ジャガイモは寒冷地や痩せた土地でも育つというのが理由だが、もともとは、食料としては醜すぎるとしてヨーロッパでは敬遠されていたらしい。
しかし、ジャガイモはヨーロッパの人々の命を繋いだ。そして、寒冷化がなければ、フライドポテトも、マッシュポテトも口にすることはなかったのかもしれないのだ(言い過ぎか)。
この長い映画は史実に忠実で、時代考証もかなり精緻のようだ。個人的には、ロンドンの発音と、イギリス北部の訛りの対比ができて面白かったのはあるが、この事件自体、実は、その後の変革に直接的な影響は少なかったとされ、それを示唆するかのよう尻切れトンボっぽいエンディングに、分かっちゃいても、報われない感が残ってしまった(面白くないわけではありませんよ)。
ワンコさん、こんにちは。
ジャガイモの伏線はさすがにわかりませんでしたw
馬車に投げ込まれたシーンは印象に残ってるのですけど。
それにしてもミーティングが長すぎ!登場人物多すぎです!
それならば楽しく行進している女の子の描写も欲しかった・・・
第二次大戦中の日本でもジャガイモが主食みたいになってましたもんね。と、親によく聞かされてた気がします。