「夢と欲望に違いなんて無い」ゴールデン・リバー bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
夢と欲望に違いなんて無い
物語の舞台は1850年代の「西海岸地域」です。この頃って「インディアン絶滅政策」の真っただ中。オレゴン、サンフランシスコから更に南に下れば、鬼畜スペインとの領土争い、と言うか、原住民殺戮合戦なんかが繰り広げられている「血と殺戮」の時代です。カルフォルニアではゴールドラッシュが起き、共和党誕生の前夜。つまりは南北戦争前。ある意味「近代化の始点」でもあるわけで。日本の歴史に例えると「幕末」なんかなぁ、あくまでも概念的には。「最後の西部劇の時代」って言う時期。
※補足: 対インディアンものは終焉近し。マカロニウエスタンは、まだまだ続きます。
もうね、野蛮。と言うか、西部劇。Sistersが使っていた銃は、パーカッション式前裝リボルバーのコルトM1848(ドラグーン)を、コンバージョン化(メタルカートリッジ仕様に改造)したものと思われますが、バンバン火花が飛び散ります。Sisters兄弟はマフィア子飼いの殺し屋。武器も最新なんですね。
誰かの「夢」は、第三者から見れば「ただの欲望」かも知れない。高尚だから「夢」、下世話で卑しいから「欲望」。んな単純な話であるはずもなく。各々が欲望、あるいは夢を抱いて集まった4人の男ども。それが共有できれば「夢」だと言える。「欲望」も「夢」も人を変える。「欲望」は人を醜く。「夢」は美しく、っていうか、そんな美しくも無いけれど。夢はチャーリーを変えますが、残っていた欲望で、全ては水泡に帰す。悲しい。
とに角、役者さんが好き。ジョン・C・ライリーなんて、この前見たのは「肥満のコメディアン」。ホアキン・フェニックスはドント・ウォーリーにビューティフル・デイ。ギレンホールはスパイダーマンの悪役。リス・アーメッドはヴェノムのマッドサイエンティスト。すごいです、皆様方の振れ幅。四人が四人とも素晴らしく良かった。
旅する西部劇。山越え。お馬さんの背に揺られての二人旅。銃を握りながらの野宿。揺れる草原を馬で進む。もう、これだけでも十分。映画としては、描写が足りなかったり、もっとドンパチにドラマティックさが欲しかったりするけれど、「旅する西部劇」シーンが良かったので嬉しい。さすがに、風景は「北アメリカ」ですよね?
夏休みで観まくってますか?僕は舞台とかトークイベントなんかで、1週間ちょっと映画は観てません。明日は行くつもり。この映画、ドンパチないけど、人間臭くて良かった。暑いですけど、ご自愛くださいな。