劇場公開日 2019年7月5日

ゴールデン・リバー : 映画評論・批評

2019年7月2日更新

2019年7月5日よりTOHOシネマズシャンテほかにてロードショー

フランス人監督だからこそ撮ることができた、ツイストが効いたウエスタン映画

西部開拓時代の19世紀半ば、カリフォルニアで金鉱が発見されたことから沸き起こったゴールドラッシュは、アメリカン・ドリームの終わりの始まりだった。一攫千金を狙ったカウボーイたちがこの地に押し寄せたものの、結局大儲けしたのは採掘道具商とデニムパンツ製造業者(名前をリーヴァイ・ストラウスという)だけだったのだから。

ジョン・C・ライリーホアキン・フェニックスリズ・アーメッド、そしてジェイク・ギレンホールという今をときめく実力派俳優が一堂に会した「ゴールデン・リバー」は、このゴールドラッシュを背景に描いたウエスタン映画である。

大物ギャングの手下である荒くれ者のシスターズ兄弟(ライリーとフェニックス)の命令で、謎の人物ウォーム(アーメッド)を追っていた連絡係ジョン(ギレンホール)がウォーム側に寝返ったことからドラマは始まる。ウォームは水中で黄金を識別する化学式を発見しており、掘り当てた黄金で独立国家を建設しようと夢見ていた。インテリ階級出身のジョンは、そんなウォームのヴィジョンに感化されてしまったのだ。二人を捕らえようとやってきた兄弟も黄金そのものに魅入られ、四人は手を結んで黄金探しに苦闘することになる。

ゴールドラッシュは冒頭に書いた通りの顛末のため、彼らの運命は決してハッピーエンドとはいえない。しかし従来のウエスタン映画では考えられないツイストが効いた展開は、観客を予想外の場所へと運んでくれる。本来アメリカ西部とは縁がないフランス人監督ジャック・オーディアールだからこそ撮ることができた快作だ。

無敵のパワーと純情を併せ持つ兄を熱演するライリーを立てて、怪優フェニックスが破滅型の弟を演じながら、いつもより抑えた演技をしているのが印象的。文字通りの異邦人に扮したアーメッド、その彼に友情以上の感情を抱くギレンホールもいい。劇中の四人が無事、金鉱を見つけられたかはここには書かないけど、演じる四人が演技の金鉱を掘り当てていることは確かだ。

長谷川町蔵

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