「あかいあかいあかい」サスペリア フライトキャットさんの映画レビュー(感想・評価)
あかいあかいあかい
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劇場でも鑑賞したのですが、このあいだ改めて見返したのでレビュー。サスペリア旧作も鑑賞済みです。
とにかく赤い映画でした。赤くて痛くてグロテスク。
私はコンテンポラリーダンスの良さが元々よくわからないので、この映画内での「不気味な儀式」といった扱いは妙にしっくりきました。筋肉が引きちぎれそうなくらい腕を振って、ステップとともに悲鳴のように高いキュッという音が床を鳴らす。踊っているだけでホラーチックな映像は素直に良いと思いました。閉じ込められた生徒が体を激しくぶつけながら踊りをやめられないシーンは、痛々しすぎて目を背けたくなるほどでした。
映像を通して見て思ったのは、この監督は女体を「汚らしく」撮るのが本当に上手だなということです。ムダ毛やクマ、シワ、たるみなどありのままの生体としての「女」を撮るので、そのありのままの汚さが「魔女」の醜さに繋がっていくように感じました。全寮制の女子校が舞台で同性同士の絡みも多いのに、耽美的な雰囲気はあまりなく汚らしく煩わしいものに思えました。そこが好きでした。
しかし、ラストの魔女復活の饗宴シーンはなんだか冷めてしまいました。内臓を撒き散らしてグチャグチャで確かにグロテスクなのですが、前半にあったなんともいえない気持ち悪さが失われてしまったような…劇場ではラスト付近はあまりに露骨にグロテスクなので少し笑ってしまったほどです。「母」というワードが繰り返し出てきたので、あれは出産の際の出血をイメージしているのかな。
ティルダスウィントンが好きなので、影のある彼女がたくさん見られて嬉しかったです。
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