「作者の心理的地獄がモンスターに乗り移った!?」メアリーの総て MPさんの映画レビュー(感想・評価)
作者の心理的地獄がモンスターに乗り移った!?
名作「フランケンシュタイン」の頭に必ず表記される"メアリー・シェリーによる"というフレーズの真相に、恐らく初めて踏み込んだ本作。なぜ、女性がこのような怪奇小説を執筆したか?という謎が、ある種の時代的必然に代わっていくプロセスは、即行で今に通じるもの。父の再婚相手である義母によって虐げられ、さらに、生来恵まれた執筆の才能も封印されたメアリーが、妻子ある詩人、パーシー・シェリーとの出口のない恋愛関係から来るストレスの発露として誕生させたモンスターは、彼女の心の地獄を体現している分、おぞましさと怒りに充ち満ちているのだった。そんなヒロインの切実で行き詰まった心情を、相変わらず愛らしく、一点を見据えるような表情で演じるエル・ファニングにとって、これは代表作と言えるもの。彼女の存在はテーマとしてのフェミニズムを和らげる役目を果たしていて、疑う余地なく適材だと思う。
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