「人生を込められた歌に人々は共感する」私は、マリア・カラス とえさんの映画レビュー(感想・評価)
人生を込められた歌に人々は共感する
感動のドキュメンタリー映画だった
これまで、誰かが演じたカラスは観たことがあったものの、カラス本人の歌声を聴くということがなかったので、それだけでも感動ものだった
私にとって、カラスは生まれる前の人で、亡くなってから40年以上も経っている
にもかかわらず、私も彼女のことを知っているし、こうして映画まで作られている
それはなぜなのか
この映画を観て、その理由がわかった気がした
彼女自身がオペラそのものであり、「蝶々夫人」であり、「椿姫」だからだ
恋に人生の全てを捧げ、愛と幸せの日々を夢見るも、愛した男に裏切られ、夢に見た日々は、もろくも崩れ去る
そして、彼女は、その悲しみを全身全霊で歌に込め、人々は彼女のその声に共感する
もしも、彼女が幸せで恵まれた生活をしていたら、マリア・カラスという人は生まれてこなかっただろう
いつの時代の人々も、マリア・カラスという、悲劇の歌姫の歌声に、心を奪われ、つかまれ、揺さぶられるのだ
そんな風に、彼女が歌に人生を捧げたからこそ、私たちは、彼女の歌から幸せをもらえたけれど
彼女自身は、彼女の思い描く幸せを手にすることができないというのは、なんとも皮肉な話だ
しかし、だからこそ、彼女はオペラ歌手になるべく生まれてきた人なんだなぁと思った
こんなにじっくりと、マリア・カラスの歌を聴いたのは初めてだけど
オペラをよく知らない私でさえ、聴いていて涙がこぼれるぐらい、圧倒的な説得力のある歌声だった
オペラファンの人も、そうでない人も、ぜひ、この映画を観て、彼女の人生を感じ、歌声を聴いて欲しい
これからも、聴き継がれていくべき歌声がそこにはある
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