「新しい時代の米ロ関係」ハンターキラー 潜航せよ とえさんの映画レビュー(感想・評価)
新しい時代の米ロ関係
正直、大して期待をしてなかったのだけど、予想以上に面白かった!
潜水艦を舞台に描かれるアクションは迫力満点だった!
冷戦後の現在、もしもロシアで異常事態が起きたら、アメリカはどう動くのか
序盤でロシアが出てきた時は「結局、未だにアメリカの敵はロシアなんだな…」なんて思いながら観ていた
それこそ、冷戦時代のように、ロシア=敵 アメリカ=正義のような描き方をするのかと思った
しかし、そんなに単純にいかないということが、追い追い明らかになっていく
アメリカの中にも、タカ派とハト派がいるように、ロシアの中にもタカ派とハト派がいる
だから、一つ何か問題が起きた時に、国内だけでも様々な意見が出る
そんか状況の中で、
もしも、ロシアの大統領がハト派で、軍幹部がタカ派だったら、どんなことが起きると想像できるだろうか
大統領を弱腰だと判断し、軍部がクーデターを起こすのではないか
そしたら、アメリカは、そのクーデターを受けて、どう動くのか…
という事態を想定して、シミュレーションしたのが、この映画だ
しかも、その舞台は原子力潜水艦である
見通しの悪い海の中で「音」だけが頼りの追跡劇は、緊迫感たっぷりで、ハラハラドキドキ!!
さらに、潜水艦ならではの閉所恐怖症的な閉塞感が、怖さを倍増させる
敵艦の魚雷に当たるかもしれないし、岩場に座礁するかもしれない
その上、水中には機雷がゴロゴロしている
何度も、もうダメかも…というピンチがやってくる!!
水中だけでなく、地上でも戦いがあり、まさに、息をもつかせぬ展開だった!!
そして最終的に、その事態を平和に導くのは、その場を仕切るリーダーと部下の信頼関係にかかっている
冷戦後は「国 VS 国」という関係性は崩壊し、「テロリストのような個人 VS 国」という関係性に変化してきているが、この映画のように、一見、「国 VS 国」のように見える対立関係でも、最終的には、その場のリーダーの判断が大きく作用し「個人 VS 個人」の戦いになるんだなと思った
ロシアの中にも、良い人はいるし、アメリカの中にも「ミサイル打ち込めー!」と言っちゃうような人もいる
タカ派 VS タカ派 なら戦争になるし、ハト派 VS ハト派なら、話し合いになる
それなら、タカ派 VS ハト派なら、事態はどうなるのか…
そんな複雑な関係を、この映画はよく表しているなと思った
この映画の結末を弱腰と思う人もいるかもしれないし、理想論と思う人もいるかもしれないけど、私は、こういう世の中であって欲しいと思ったし、なんだかホッとしてしまった
まぁ、まぁ、そういうことを考えなくても、アクションだけでも十分、面白いので、アクション好きの方はぜひ