「既視感たっぷり。名作いいとこどりの優等生作品」ハンターキラー 潜航せよ Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
既視感たっぷり。名作いいとこどりの優等生作品
初めて"潜水艦モノ"を見るようなティーン・エイジャーにはいいかもしれない。既視感たっぷり。名作いいとこどりの優等生作品である。
もしくはハリウッド礼賛一辺倒の映画ファンが、GWを過ごすのにうってつけである。悪くはないのだが、飛びぬけているところもない。
よく"潜水艦モノにハズレはない"といわれるのは、「U・ボート」(1982)、「レッド・オクトーバーを追え! 」(1990)、「クリムゾン・タイド」(1995)、「U-571」(2000))など・・・名作揃いゆえだが、実際はそうでもない。女性アカデミー賞監督のキャスリン・ビグローの失敗作「K-19」(2002)がある。
ロシア近海で米海軍の原子力潜水艦が消息を絶つ。それを救出に向かった、ジョー・グラス艦長(ジェラルド・バトラー)率いる攻撃型原潜"ハンターキラー"が、特別なミッションを受け、絶対的な不可侵を誇るロシア海域に潜航していく。
本作には原作小説があるのだが、それにしても"潜水艦モノ"には、"お決まり"の常套手段がある。
"海中という外部遮断された特殊密室"、"その密室環境で起きる事件・事故"、"ソナーを駆使した見えない敵との戦い"、"迫る機雷や魚雷の恐怖"、"海軍兵学校出身のエリート将校と現場叩き上げの対立"、"船長による船員の人心掌握術"・・・これらの組み合わせをバランスさせると"潜水艦モノ"は完成する。
本作はそれら"お決まり"をあまりにもキレイに並べた佳作になっている。しかも、同時進行で、特殊部隊による陸上作戦と、指令部の政治的な攻防が続く。
おそらく新味を加えようと努力をしているのだが、そのぶん"密室による緊迫感"が減ってしまうことにもなる。
なんにも考えず、期待しすぎなければ、ニュートラルにそこそこ楽しめる。
「ミレニアム」(「ドラゴン・タトゥーの女」から始まる3部作)シリーズのスウェーデン・オリジナルの主演として有名な、ミカエル・ニクヴィスト(ロシア潜水艦のセルゲイ・アンドロポフ艦長役)の遺作になっている(2017年逝去)。
(2019/4/12/ユナイテッドシネマ豊洲/シネスコ/字幕:林完治)