「Pride runs deep silent service」ハンターキラー 潜航せよ いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
Pride runs deep silent service
オンライン試写会にて鑑賞。原作未読。多分、ハリウッド映画だと思うが、想像の範囲内のバジェットでの制作かと思う。そういう意味で、何度も焼き回しされているかもしれない内容であろう。しかし、自分はあまりこの手の作品を鑑賞してはないので、新鮮な気持で鑑賞した。とにかく“手に汗握る”演出に関してはどの国にも負けない腕前がこれでもかと叩き込まれ続ける。常にスリリングなのである。それが海底のパート、そして陸上の敵地潜入パートと同時進行で襲ってくるので、心が落ち着く暇がない。なので話のスピードも途切れることなく加速してゆく。潜水艦パートでは昔あったバラエティ番組の“ビリビリ棒”よろしく針の穴を通すような動きをみせ、艦内にてスパナが落ちる瞬間に上手くキャッチするシーンの見せ場も多彩なスリルを描き続ける。そうかと思えば、敵基地潜入シーンでの秘密武器等を使用したギミック感も面白い。
潔いのは、各登場人物の過去の背景を深く掘り出さないことで、深みよりもリズムを大事にしている点だと思う。要所要所はピックアップして話を披露しているがあくまでもそれはピンチからの脱出のアイテムとしてのフックである。話の転換を図るためのハンドルとしてのエピソードであり、人物像には最小限のレイヤーしかかけない。というのも、ハッキリと勧善懲悪モノであるから、敵はロシア国防相であり、その為にはロシア大統領でもロシア原潜の艦長でも“仲間”になってしまうウルトラCも自然な清々しさなのである。
余り深く考えたくない、はっきりと悪が懲らしめられてスカッとしたいカタルシスを得たい時は誰しも持っていると思う。そんな心の清浄機を体験したければ今作はピッタリなのであろう。心の奥ではみんな繋がっている、そんな夢物語を“信用”という2文字で幸せになれる作品も又、映画では必要なのだと強く感じるまさに“スッキリ淡麗”な映画であった。