ライ麦畑で出会ったらのレビュー・感想・評価
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小説の追体験のような感覚
『ライ麦畑でつかまえて』が大好きなティーンエイジャーが、舞台化の許可を求めに隠遁しているサリンジャーを探しに行く実話を基にした物語。監督自身の高校時代の映画化で、本当にサリンジャーを探し当てている。青春時代ならではの無軌道なエネルギーで突っ走る主人公は見ていて心地よい。
主人公も面白いがサリンジャーの住む街、コーニッシュの人々がまた面白い。主人公がサリンジャーについて尋ねてもみな知らないとしらを切る。中にはデタラメな道順を教えたりする人もいる。これは、街の人々がサリンジャーのプライベートを守ろうとやっていることらしい。サリンジャーと街の人々がどんな交流を持っていたのかが何となく透けて見えてくる。
主人公の境遇は、なんとなく『ライ麦畑でつかまえて』の主人公とも重なるところがあり、小説の物語の追体験のような感覚も与える。秋のすすけた風景も美しい。情緒豊かな青春映画だ。
主演アレックス・ウルフの魅力
にわかに売れてきた印象のアレックス・ウルフ。「ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル」のロック様に変身する前の高校生役や、「パトリオット・デイ」の爆弾テロ兄弟の弟のほう、さらにもうすぐ公開の「ヘレディタリー 継承」でも素晴らしい演技を見せる。最近の出演作を並べてみると、幅広いキャラクターを演じ分ける確かな力量を感じさせる。
彼が演じるジェイミーは「ライ麦畑でつかまえて」に強く共感するキャラクターで、精神的に問題を抱えているが、ディーディーみたいなしっかりタイプの女の子に支えられる展開もうまい。そして、クリス・クーパーの渋い存在感。「彼」が登場しなくても成立する話かなと思ったが、クーパーとウルフの対話劇は含蓄があり、やはり登場して正解だと考え直した。
背後に"ベトナム世代"の顔がいっぱい見える
J.D.サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」の主人公に自分を重ね合わせる高校の文化系男子が、自分で原作を脚色し、高校で舞台化することを思いつく。まず、この発想がいいし、サリンジャー自身に舞台化の許諾をとるため、彼がペンシルベニアからニューハンプシャーまで旅するという青春ロードムービーのフォーマットにも交換が持てる。行く手に何が待ち受けるか分からないという不安が、観客を否が応でも助手席に乗せてしまうからだ。まして、時代はベトナム戦争末期の1969年。若者たちの頭上に戦争の暗雲が立ちこめる中、それを振り払うにように旅に出る少年の背後には、かつて何度も映画に登場してきた"ベトナム世代"の顔がいっぱい見える。でも、本作には主人公ピーターの揺れ動くセクシュアリティの問題も描き込まれていて、今の時代にリンクする視点もちゃんと持っているのだ。好感度大の1作だ。
大人になれよ!
まだドラクエのショックから立ち直れていないのに、「大人になれよ」の台詞が2回も出てきた。いや、十分に大人なんですが、童心に返ることも許されないのかと、高校生のジェイミー・シュワルツに気持ちを同化させた。
全寮制の男子校に転入したジェイミー。どうしても『ライ麦畑でつかまえて』を舞台化してくて、許可を得ようとサリンジャー本人に会いに行こうとする。このロードムービーとなる本筋がジュブナイル的なのだが、女の子ディーディーが言い当てていた。ベトナム戦争で3万人もの米兵が現地に派遣されたというニュースとか、反戦ムードも高まりつつあるアメリカ。いじめという問題もあるけど、その戦争による虚無感を埋めたいだけのジェイミー。完全に主人公ホールデンの心に入り込んでいるのだ。
彼を慕ってくる演劇サークルの女の子ディーディーがまた、彼の純粋さに共鳴し、一緒に泊まったりするものの、彼は手を出さない。そんなところも甘酸っぱい青春ストーリーとして、この映画を輝かせてくれる。ただ、ストーリー的には単純すぎるので、ちょっとの時間、若返った気分に浸れただけでした。
ヘタレ役がハマり役、アレックス・ウルフ。
ジュマンジでもオタクでガリ勉青年を演じていたウルフ君。
こういう役をやらせたらハマる。
IQの高さが感じられる演技で、最初やたら鼻に付くけれど、ラストはその巧さに感嘆する。
ディディ役のステファニア・オーウェンちゃんはジュリア・ムーアに似ていた。
清々しい青春ロードムービー。
原作を読んでみよう
原作を読んでいない俺が言うのは変なのだが、この映画はおそらく原作を読んでいるかいないかで面白さが大きく違う映画だ。
読んでなくても、しっかりしたロードムービーとして楽しめる。ただ、ここのいくつかの感想を読むだけでも、原作読んでいたらもっと面白いんだな、と気づかされると思うよ。
というわけで、俺は近いうちに読もうと思います。
読み終えた事がない「ライ麦畑」
いままで、何度か小説にトライしたが、途中で断念(昔の洋書は翻訳がイマイチだからね)。村上春樹版もさっぱり分からなかった。そんな訳で、ライ麦の良さは正直わからないのだが、アメリカの若者のセックス描写の無いロードムービーは好感が持てた。名作では無いが良作だと思います。
酷い
『ライ麦畑で捕まえて』が好きなため観に行きました。
この映画の主人公同様、私もこの小説に感銘を受けた者の1人です。
しかし、この主人公は酷い。
ホールデン・コールフィールドは作中のサリンジャーが語る通り、誰かが演じるものではないし、ましてや誇示するべき対象ではない。
ホールデンとこの主人公の青臭さは根本的に違う。
ホールデンの青臭さは、大人の世界に裸一貫で対峙し、無謀な戦いを挑む所にあるが、主人公の青臭さは、自己満足の為に戦いを挑む若者の一姿の域を出ない。
境遇が似ているなど、級友から酷い扱いを受けている者の受け皿として、この小説があるのではない。
この主人公のやり口は、観ていて痛々しかった。
この小説に感銘を受けたのであれば、演劇という疑似体験の枠ではなく、その人生を現実に引き受ける事が妥当なのではないか。
サリンジャーに会うことができるのか。
ってことが山場なのかなと思って鑑賞しました。でも、後からわかったのですが、配役が既に紹介されていたのですね。
ここは、私の落ち度。
青春映画は数多あり。
自分がもし、ティーンネイジの人たちに勧めたい映画があったとして。
この映画は当てはまらないなと思いました。
成長物語
まるで「ライ麦でつかまえて」の主人公ホールデンがジェイミーに成り代わって、旅に出て出会った人達や景色を再現しているかの様な作品でした。隠居生活を送っているサリンジャーに「逢いに行こう」なんて実際逢いにいってしまうのも、凄く映画らしくて夢がありました。物語は悪く言えば刺激がなくて淡々としている様に感じますが、良く言えば一人の青年の成長物語として安心して鑑賞ができます。スクリーンに写る広大な自然は、アメリカのロードムービーを観る醍醐味を味わえますよ。
受け身
サリンジャーに対してあれだけの努力をして舞台化の為に説得しようと奮闘するくせに親友に対しては諦めも早くチクる行動を取るのは兄の事があったにせよ優等生ブリが鼻に付く。
いじめてた奴らも掌を返したように扱いが変わり自分が主人公だったらそんな奴らを見て不信感を覚え距離を置きたくなるしサリンジャーに会った確証も無い筈で信じるのは早くないかな?
苦労してサリンジャーに出会えたような描写も無く旅して二日目?には会えた理由も微妙な感じで。
ディーディーの健気で献身的な姿は癒されるがあれでは男をダメにする典型的な女性像に感じてしまい主人公にとって都合が良いだけに思える。
これただ単に監督の自慢話にしか思えないし仲間からの信頼を得て彼女も出来て自分の努力と才能を凄いでしょう?って気分が悪い。
個人的に自分がひねくれた性格だからなのか本作にはハマれず比較?されている「ウォールフラワー」もダメだったし評価の高い「ブリグズビー・ベア」も好きになれなかったし本作には期待もしていたが全然ピンと来なかった。
さりげない感動に包まれる青春映画の秀作
1960年生まれの私達の世代にとって、J・D・サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」は最も有名なアメリカの小説の一つではないだろうか。
今作の主人公ジェイミーはこの小説に感銘を受け、演劇作品として脚色する。そして、上演の許可を得るべく、演劇サークルで出会った女の子ディーディーとサリンジャー探しの旅に出る。
1969年という激動の時代を背景にしているものの、感情の起伏を押さえた静かで柔らかな空気が流れる。ベトナム戦争に出兵した兄貴のことやら高校での孤立やイジメといった負の感情をオブラートに包んでの再生への旅。
信念を貫き行動することの大切さをさりげなく教えてくれる青春映画の秀作。オススメの作品だ。
ディーディーの優しさ、そして優しいキスが印象に残った。
ライ麦畑で捕まえてをオマージュした青春映画
こういう映画を観たかった。青春映画の傑作だ。ライ麦畑でつかまえてを彷彿とさせるストーリー性。アメリカの古き良き田園風景。
またベトナム戦争中の抑圧的な空気が映画のテーマにもぴったり。本作はまさに現代のライ麦畑だ。
ディーディーが非常に魅力的。あんな魅力的な女の子に誘惑されるなんて羨まけしからん、というかそこで手を出さないなんていくらなんでもディーディーが可哀想だった笑
ライ麦畑のキャッチャー
成長するにつれ、受け入れ難い現実や、抗いたくなる不条理が増えてくる。
好むと好まざるに関わらず、たとえ、それが独りよがりであっても、戦ってみたり、逃げ出してみたり。
そんな子供たちがたくさんいて、崖から転げ落ちないように捕まえてくれるのが、ライ麦畑のキャッチャーだ。
「ライ麦畑でつかまえて」を読んで感動した多くの人は、自分自身とホールデンを重ねて見ると思う。サリンジャーもホールデンと自身を重ねていた。そして、ジェイミーも。
しかし、物語が展開するつれ、何かが変化してくる。
そう、ライ麦畑のキャッチャーが、そこかしこに現れる。
舞台化の許可をもらいにサリンジャーに会いに行くジェイミーを助け、見守るディーディー、ひっそり心配する母親、サリンジャーに拒否されても舞台化を勧め、背中を押す先生達、舞台に出演する友人も、実はジェイミーのライ麦畑のキャッチャーなのだ。そして、台本を抱えて再び訪れたジェイミーを迎い入れ、「きっとやると思ってたよ」と言ったサリンジャーもライ麦畑のキャッチャーだ。
大人になる直前の、ほんの短いキラキラした時間を、旅を通じて成長するジェイミーの姿を、アメリカの田舎の美しい風景とともに描いた、大人に是非みてもらいたいオマージュ作品だ。
旅をする二人がいとおしい
学校での出来事の描写にはひかれるものがなかったけれど、ディーディーが登場してからは旅する二人の行動や会話、風景に至るまですべて魅力的で引き付けられてしまった。どこかギルバートグレイブのデップとルイスの夕焼けのシーンに重なるものを感じている。
恋っていいなぁって思いました
とてもいいストーリーで見やすかったです。
少年と女の子がとてもお似合いで
羨ましくて、女の子の方がしっかりしていてグイグイ行くのがおもしろかったです。
また、行動力のある少年に私は励まされました。
行動しないと何も変化しないなぁと。
ただ1つ、こうゆう映画だから仕方がないのですが
たんたんと進んで行くのでもう少し変化が欲しかったです。
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