劇場公開日 2021年3月26日

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「大八印の巧みな構成と演出が冴えた作品」騙し絵の牙 ごーるどとまとさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0大八印の巧みな構成と演出が冴えた作品

2021年7月8日
iPhoneアプリから投稿

観よう観ようと思ってるうちに緊急事態宣言で映画館が閉鎖され、ようやく再開された時にはもうかかっていなかった作品。そもそも昨年ロードショーのはずが今年の春まで延期されてやっと封切られたと思ったらまたも緊急事態宣言、とちょっと公開運が悪かったかな?
去年長〜い期間予告編やってましたもんねぇ。

という訳で、悲運の騙し絵を求めてちょっと離れた地域の名画座まで電車乗り継いで観てきました。
ここでの評価がそこまで高くはなかったので今さら劇場鑑賞すべきか迷いましたけどやっぱり吉田大八監督作ですからねぇ。

で…。

いやぁはるばる遠征してまで観た甲斐あったわぁ!
全然面白いじゃん!!

原作をいったんバラバラにして再構築したストーリーらしいのですが、巧みな構成だったと思います。
原作読者でオチまで知ってる人をも楽しませようと思ったらやはり別の仕掛けが必要になってくると思いますけど新たな脚色によって緻密に計算された鮮やかな展開は監督の手腕そのものでしょう。
決してドタバタコメディではなく知的でスタイリッシュ。きっと吉田監督はとても頭の良い人なんでしょうねぇ。

今これを書きながら、桐島〜や紙の月などをふと思い出したしかに緻密に計算された演出だったなぁと。

出版業界、広告業界を少しでも知ってる人ならより楽しめるでしょうし社内闘争などの社会派部分もありますし取締役会のシーンに思わずニンマリする現実社会の役員さんたちもいらっしゃるでしょう。その辺りはどこも存分に楽しめました。

キャストは豪華で適材適所。特に松岡茉優さんやっぱり良いですね。國村隼さん演じた二階堂は絶対あの人がモデルですよね?まんまあの大作家ですよね??笑
どのキャラもとてもいい感じでした。

ラストにやや物足りなさを感じなくはないものの、(楽しかった〜)という爽やかな余韻が残る秀作でした。

ごーるどとまと