「映画は私小説でもなければ日記でもない」止められるか、俺たちを うそつきかもめさんの映画レビュー(感想・評価)
映画は私小説でもなければ日記でもない
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これでも門脇麦としてはずいぶん頑張って一人の女性を体当たりで演じたと言えるだろう。事務所の方針で濡れ場も、裸も汚いセリフもイメージを損なうものはNGという女優さんがずいぶん多いなか、異彩を放つ存在感でこんな女性が実在したことを解りやすく伝えてくれる。
でも、「女は子供を産んで家を守るもの」という映画の中のセリフに敗北感を味わい、睡眠薬を飲んで自殺する描写に、「解剖したら妊娠6か月だった」という他人事のような説明セリフのエンディングに、「それはないだろう」という感想しか湧かなかった。
主人公が仕事を通じて成長し、周りを変えていく様を面白おかしく描いたドラマではない。若松孝二監督の仕事ぶりを通じて伝説的なカイ作を生み出していった伝記でももちろんない。実らない恋を成就させるラブロマンスでもない。悪人を懲らしめるアクションヒーローも出ない。
これを称賛できる人は、芸術性に娯楽性は邪魔なんだよとでも言いたいのか。それとも、映画人の日常なんてこんなものさ、ドラマなんてないんだよ。みたいなことなのか。
だったら、なんで映画にしたんだろう?
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