「いろんな青春があってもいいじゃない」止められるか、俺たちを 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)
いろんな青春があってもいいじゃない
1969年春、若松孝二を中心とした若松プロダクションに一人の女性が入った。
吉積めぐみ。ピンク映画の助監督として若松プロで仲間たちと映画を撮り続けた。
そんな彼女と仲間たちのはなし。
お恥ずかしながら、若松孝二監督の映画は全く観たことがなく、寧ろちょっと主張強すぎるかな?と避けていた面がある。
こんな自分が観ていいのかは分からないが、若松孝二の為人と、自分には想像もつかない当時のエネルギッシュな若者たちの姿を知る上でとても勉強になった。
男だらけの世界で、女を捨て自分を見つけきれないめぐみ。
結末はあまりに呆気なく、周りが出世していく中で一人だけ取り残された悲壮感がなんとも切ない。
政治に興味はないけれど、共に立ちションを望み仲間と一緒に映画という武器で戦ったものの、妊娠で自分を女性だと自覚する。
学生運動が激化する中でこういったなりきれなかった女性は大勢いただろう。
若松孝二の伝記というよりは、そんな彼女たちへの鎮魂歌のように感じた。
若松孝二ってすごい人だったんだな。
だんだん活動家の拠点と化していった若松プロだけど、そこには確かに良い映画を撮りたい熱があった。
どんな映画も映画なんだよ。
でも、若松孝二にはただヤりまくるだけのコマーシャルな映画は撮って欲しくない。
エロ目的のおじさんにもウケるものを作らないといけない。
様々な映画論がある。
愛やセックスは暴力だ。
映画の中では警官殺そうが誰殺そうが悪くない。
彼の映画を少し、いやかなり観てみたいと思った(特に『ゆけゆけ二度目の処女』が気になる)。
鑑賞前は復習映画だと思っていたが、予習として観れたのは良かったと今は思う。
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