「クソみたいな映画界をぶち壊したい」止められるか、俺たちを いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
クソみたいな映画界をぶち壊したい
多分、国営放送でなければNHKの朝ドラの題材になるような作品なのではないだろうか。お山のボス猿の元に得ないの知れない一匹のメス猿が舞い込んでくる。とはいえ、そのメスの部分をグッと押し殺し、ボス猿の背中を見つめながら、自分の存在理由を問い続けるメス猿の波瀾万丈な生き方を語った作品である。
1960年代後半からの時代背景は、自分がまだまだガキだった頃の話なのでそこには全てを共有できないけど、物心ついたときにその残り香を感じさせれるセットの数々は確認出来た。特に所謂高級文壇バー的な場所のあの木の調度品等、あの頃から古めかしいしかし、威厳みたいなものを感じ取られたものだ。
若松監督作品は、『キャタピラ』位しか観ていない。それ以外の作品はアクが強いという理由で観る機会がなかった。そんな感覚の自分が思うに、主演の門脇麦は今作品、出るべきではなかったと勝手に結論を持った。勿論、ファンの一人としての想いなのだが、汚れをやるにはまだ若いのではないだろうかと・・・ まだ“業”みたいなものが表現仕切れていないように感じる。
いや、門脇麦が悪いんじゃなくて、そもそもこの同窓会的作品自体が作られる必要性があったのだろうかと感じるのだが。
確かに、安保時代からの狂乱のバブル時代にそれぞれ登場人物がそれこそ暗躍していたであろう怪しい人達の元々の“虎の穴”的巣窟がこの若松プロであったという件は歴史的にも重要なのだろうが、あまりにもマニアック過ぎてその有難味が湧かないのが正直なところである。所々有名人が差し込まれているのだが、そりゃ狭い業界、どこかで遭遇することありえるだろう。ストーリーとしてそれが必然性を感じさせてくれれば深みも増すのだが、そういうこともあった的状況説明に始終しているように感じる。赤塚不二夫、大島渚等、こんな人とも知り合いだったんだよ的、自慢話にみえてしまうのは自分だけだろうか。
主演、吉積めぐみの自殺方法が、睡眠薬&酒&扇風機というのもノスタルジーを掻立てることはあっても、もっとドラマティックさを演出してもよかったのではないかと思うのだが、底辺に流れるイメージは違うのだろうかな。
正直、共感性はあまり感じられず、唯々、主人公の虚無感だけが漂う、引っかかりの薄い作品だと感じた次第である。
キャスト陣は大変素晴らしい人達ばかりだったんだけどね・・・
PS:このサイトじゃなくて、有名な映画レビューサイトでちょくちょく書き込まれていた『タバコ』問題だけど、よくそんなくだらないコメント残す奴いるんだなぁと思う。今の時代背景を何で作品に落とし込むのかよく分らない。そんな奴はレビューする資格無いから書き込むな!! タバコの紫煙の奥にある意味合いを勉強しろ!!