「こころをこめて」轢き逃げ 最高の最悪な日 野々原 ポコタさんの映画レビュー(感想・評価)
こころをこめて
被害者女性「望」の死は、はたして何によって
もたらされたものなのでしょう?
人生調子に乗ったヒトが少しの焦りから
乱暴な運転によって引き起こされたことに
よるものなのでしょうか?
それとも、誰しもが持つ “ 嫉妬心 ” の延長線上の
ひとつの結末だったのでしょうか?
さらにフレームを広げ、文明社会の犠牲に
過ぎなかったのでしょうか?
また、その怒りの矛先は誰に、どこに
向ければよいのでしょう?
本作『轢き逃げ 最高の最悪な日』は
水谷 豊 監督がフィクションを通して
スクリーンの外側の現実を打ち抜いて
鑑賞者に問いかけた社会派作品であり
そして警鐘作品でもあります。
本作が提示していたものは
被害者側にも、加害者側にも
一抹の「望」を与えていたのは確かです…
終盤、真相が明らかになっても
秀一が輝を許してしまうところなんか
「ブロマンスかよ!」
とわたしは思ってしまいましたが
母親と早苗の受け止め方は
「オンナはいつの時代も強いな!」と…
そんな男性陣と女性陣の対比の妙を感じました。
その中でも父親は真相を知るためだけに
自分の信念を忠実に
淡々と貫いたようにみえました。
水谷豊さんの控えめな演技は
観ていてチョット物足りなかったかな…
でも逆に、父親の娘に対する想いは
ヒシヒシと伝わりました。
中山麻聖さんの繊細な演技、良かったです!
『検察側の罪人』の酒向芳さんを彷彿とさせた
石田法嗣さんのサイコな演技サイコー!
小林涼子さん、檀 ふみさんたちは
ひたむきな女性の強さを見事に表現していました。
あと久し振りに悪役以外(笑)の
良い刑事役の岸部一徳さんにほっこりされました!
あんな強い女性像、わたしはムリ!
せめてわたしのできることと言ったら
日々、〈こころをこめて〉ハンドルを握り
安全運転に心掛けることぐらいですね…
最近わたしの安全運転法はズバリ!
《『運び屋』のサントラを聴く》コレです!
でも今日からは手嶌 葵さんの新譜にキマリです!!
…こんな書き込みをしている最中にも
また、ヒトが車に跳ねられる事故のニュースが…
本作を観賞したわたしたちだけでも
せめて…安全運転を心掛けましょう!!!
自動ブレーキ、自動運転の技術が進んでも
結局それを扱うわれわれ人間の〈こころ〉が
一番の拠り所であるのは変わりません…