「好青年な取材スタッフ」心に寄り添う。 ゆうのすけさんの映画レビュー(感想・評価)
好青年な取材スタッフ
大学生かと思われる若い取材スタッフ達の
取材を通じた人々達との会話による交流と
彼らによる彼らのドキュメンタリーでもある。
身障者や登校拒否などの生徒をインタビュー取材した作品だった。
取材スタッフは学生らしいので、皆若く、
しかしとても真面目で純粋な若者達。
もはやこういう若者達は巷では見かけなくなった。
現代にはまだこういう若者が日本にはいたのか?ということが
一番印象に残った。
インタビューや撮影、編集も学生タッチである。
そんなまだ初々しいところも愛嬌である。
気になったのはインタビューは割と普通であること。
質問にしても鋭い切込みなどはハッキリ言ってほとんどない。
個人的には登校拒否児のシーンに興味があったわけだが
登校拒否中の中学生?や高校生は割と普通に質問に答えているが
登校拒否の生徒ってこういうものなの?
先生に反抗したり、やっかいな生徒や屈折した感じの生徒は出てこない。
そういう生徒の取材はしたとしても作品の中であえて取り上げなかったのかもしれないが。
素直過ぎるくらいだし、なぜこんな彼らが登校拒否になるのか?
どうしたらそこから脱却していったら良いのか?は
作品中では明らかにはならないので
見ていてやや不完全燃焼な気はした。
そういう点はインタビューからはほとんど明らかになっていないし
その原因や問題をじゃあどうしやって解決したらいいのか?なんてことを
掘り下げたものにはなっていない。
とにかくインタビュー対象者の彼らの目線で
彼らに説教やアドバイスもほとんどなく
友人に接するがごとく、優しく語りかけ、
とにかく聞き手に徹していたのである。
登校拒否の生徒の心を開くにはまず必要なことかもしれないが。
この取材している若者達にすべてを任せているかんじであり
この作品に大人がまったくアドバイス等をしていない感がある。
それはそれで良いかもしれないが
この作品を映画館で上映することを前提に考えたら
もっととことん取材するとか、深く掘り下げる作品にすべきだし
やはりどうかな?という感じはした。
内容が内容なのでエンタテイメントというわけにはいかないだろうが
取材としてももっと鋭い問題意識で深い突っ込みか提案も必要ではないだろうか?
学生さんが制作したというので厳しい指摘は控えておくが
優等生な作品でなくても良いから
若者ならではの大人が発想しないような突飛な
アイデアや取材を目指してもらいたいと思った。
ああ、そうそう、撮影データを誤って消去したというクダリがあったが、それは今では難なく解決できる時代なのである。
消去しても新たに別データを上書きしなければ
ほぼ復元出来る技術がある。
単なる普通のクリックでのデータ消去は実は「消去」ではなく、
データを表示しないということだから。
誰か回りの大人が復元方法を教えてやれば良かったのに。
私がそこにいたら教えてあげたよ。
彼らにはまたぜひドキュメンタリーの作品を制作してみていただきたい。