氷上の王、ジョン・カリーのレビュー・感想・評価
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ジョンさんおつかれ。
冒頭で、牧神の午後への前奏曲をBGMにして滑っている人、綺麗な映像やけど誰?とおもっていたら、ジョニーウィアーでした。どうりできれいな映像。
今やフィギュアスケート・男子シングルはクワドラプルがデフォルトだし、アクセルを含めたトリプルを全て飛べない男子は、国際試合にほとんどいないわけですが。
76年インスブルックオリンピックの頃は、トリプルトゥループですごーい!だったんですね。
ドン・キホーテのプログラムを全部映画では流していないので、あれですが、トリプルトゥループとダブルフリップとダブルアクセルの三種類しかジャンプは飛んでいませんでした。
この40年強でどれほど技術が向上したのかということですね。
スポーツ界はまだまだLGBTQフレンドリーとは言えません。
ここ20年ほどフィギュアスケートを見ていますが、現役中にカミングアウトしている選手ってほとんどいません。カムアウトしてオリンピックに出場した選手は、アダムリッポンとエリックラドフォードくらいでしょうか。
ジョニーウィアーのように引退後や休養中にカミングアウトした(元)選手は幾人かいます。
別にカムアウトの有無でしてたらかっこいいとか、してないからいくじなしとかジャッジしたいわけでは全くないんです。ただ、本当は隠していることのほうが面倒で不自然なことなんだろうと思うのに、なのに隠さないといけない雰囲気、隠している方が安全という状況があって、当事者はしなくてもよい苦労を抱えて競技をしているっていうのが現実なわけです。恐らく2019年の今でも。そこに憤りを感じます。
ましてやジョンカリーさんは、70年代に自ら公表したわけではなくて暴露されてしまったのでしょう?
きつかっただろうなと思いますよ…
バレエに魅せられてバレエをやりたかったけど父に許されず、かろうじてスケートはスポーツだからと認められてフィギュアスケートを始めます。その頃は音楽に合わせてとか、バレエ的な表現はあまりなかったそうで、今となってはびっくりします。
ジョンカリーさんは 本当にバレエが好きだったんだなと思いました。初めて買ったレコードは3枚ともバレエ音楽だし、ドン・キホーテに海賊、牧神の午後への前奏曲…バレエの有名曲をガンガン使っていました。
牧神…は、バレエをテレビで見たことがあってそのエロティシズムに度肝を抜かれたのですが、その時の雰囲気を感じる生々しい牧神とニンフでした。
くしくも先日ヌレエフの映画も見ていて、彼もエイズで死ぬんですけど、この時代のゲイたちは悲運としか言いようがないです。
今となってはエイズはもう不治の病気じゃない。HIVポジティブだったとしても平均寿命まで生きることは可能になっています。
もう少し後で生まれたらとか思いますけど、彼らはあの時代に生きたからレジェンドなんですもんね。過去のことにたらればなんていうだけ虚しいんですが、心に浮かんでしまいます。
恋愛に依存してしまう感じは、わたしはよくわかりません。
惚れっぽくもないし、一人も平気だし。
酒癖が悪いとか、殴るとかの人に、それでも一緒にいたいってなる心理に、順序立てて説明されれば想像はつくけれども、自分がその立場になる事を想像するのは少し難しかったです。
ジョンカリーの功績が、現在わたしを夢中にさせるフィギュアスケートという競技に織り込まれているってことを感じられてよかったです。
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