劇場公開日 2019年5月31日

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「いいドキュメンタリー映画」氷上の王、ジョン・カリー スコーンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5いいドキュメンタリー映画

2019年6月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

 カリーの脳内にはおそらく音楽に融け込む身体表現がはっきりとあり、その動きやポーズを完璧に氷上で見せることに才能と生涯を捧げたのだと感じました。単独でもペアでも、大人の鑑賞に堪える、まさに芸術的フィギュアを極めた演目が披露されていました。もうそれを知れただけで十分だし、彼が表に出すつもりのなかったことには触れたくないような気もしました。
 しかし、『ムーンスケート』と『美しく青きドナウ』は、彼の内面の状態やさまざまな葛藤・苦しみを映画でたどることでより深く感受できた気がしました。特に『ドナウ』は、それまでの80分で自分なりに描いたカリーが心の中にいることで、衣装・振付・演技に他の作品とは違った美しさを感じ、カリーへの思いがこみ上げてくる気がしました。最後の作品は才能よりも人生が作った傑作なのではという考えが浮かびました。様々に思い・考えを巡らす余地のある、いいドキュメンタリー映画でした。パンフレットも最初から最後まで読みごたえがありました。

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スコーン