「青臭い感性」チワワちゃん タカヒロさんの映画レビュー(感想・評価)
青臭い感性
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若さの特権ともいうべき、刹那的に生きる危うさとワクワクを感じました。
物語の途中まで、登場人物の誰もに共感できない自分がいて、若い頃に観ていたらもう少し面白く観れていたかもなー、と思っていました。
自由をはき違えているなと、若者たちに対してどこか冷めた目で見ていました。
有名カメラマンのサカタが、撮影中嫌な感じで正論を振りかざし切り込んでいくシーンも、もっとやれーって思ったのも事実です。
でも終盤、みんなで集まり海岸でチワワを弔ったあたりで気付きました。
あっ、この子たちは仲間と心から楽しんで生きていただけなんだってことに。
それなのに、いつしか関係を築くのに目的や利害や意味を探すようになってしまい、どこか純粋な関係を失っているのは大人の僕の方なんじゃないかと。
そう考えると、サカタの理論詰めも、若者の希望を摘み取る頭の凝り固まった老害の遠吠えに聴こえてきますし、ミキを無理やり襲った吉田のクズ行為も、就職活動が上手くいかない社会への敗北感が伝わってきて、より痛々しく感じます。
格好良く取り繕っていた彼が、一番情けなくなってしまったんですね。
青臭い思いとその感性って年を重ねると忘れていくけど、大事にしようって思える作品でした。
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