「刹那的で、鋭く激しく痛々しい」チワワちゃん なにわさんの映画レビュー(感想・評価)
刹那的で、鋭く激しく痛々しい
チワワちゃんの空虚感を埋めようとする振る舞いが眩しく痛々しい。料理を振る舞うシーンの会話から、彼女のキャラが家庭の事情に由来することを窺わせる。
吉田が哀れ過ぎる。身勝手なセッ◯ス、挙げ句の果てにはレイプ。女性をトロフィーか何かだと思っている様に見える。チワワちゃんがモデルとして活躍し始めたことは、彼のプライドを傷つける出来事だったのだろう。「就活ぐらいみんなするだろ」というセリフから、何者にもなれなかったと思い込んでいるコンプレックスを感じる。
原田とチワワちゃんがセ◯クスしまくってるシーンのモンタージュが印象に残る。激しく痛々しい生き方をする若者的要素がリズムよく詰め込まれてる。ジャンクフードを食べ、サッ◯スをし、シャワー浴びて用を足し、疲れたら寝る。起きたらまたセ◯クス。
視点人物のミキは間違いなくチワワちゃんに憧れ、嫉妬を感じていた。それを否定するプライドの高さが、この映画に出てくる若者的な感じがする。みんなで楽しい時間を作り出し、楽しい自分を演じる。ひどく消耗の激しい生き方に見える。ミュージックビデオ的な気取ったオシャレな編集が、そのまま彼女らの生き方にリンクする。
浅野忠信演じる挑発的で鼻につくカメラマンが良かった。目つきが怖いし、いかにも仕事の現場では周りから評価されてそうで、年上好きの若い女性にモテそう。
現実でこういうグループができる時って、永井くんみたいな子は本当にいるんだろうか?ナード的な彼は若干浮いていた気がする。「みんなの楽しい時間」の記録係だ。チワワちゃんに惚れていたから居たんだろうけど。
ミキがチワワちゃんについて聞いて回ってることを奇異な目で見る人物たちが出す、居心地の悪さよ。「何それ。何でそんな意味わかんないことやってんの?」とでも言いたげな。これに限らず、こういうグループには特有の居心地の悪さがある。映画で久々に体験できて良かった。