「やっぱ、そんなカッコつけるのか」チワワちゃん xmasrose3105さんの映画レビュー(感想・評価)
やっぱ、そんなカッコつけるのか
すごく寂しい映画、元気が目減りするよな...
登場人物がことごとく浮遊、感受性を麻痺させてて、それは自己防衛なのでしょうが、愛が無い。でもみんな愛をもらいたくって、くれる人を探してる。それを素直に言えるのはチワワちゃんだけなのですが。みんな「友達未満、知り合い以上」、こんな付き合いは心を病みそうだ。チワワちゃんをどこか羨んで妬ましく思ったり、蔑んで呆れたり見下したり。なのに不安定かつ器用に、そんな関係を乗りこなす。イマドキの承認欲求病に登場人物「ほぼ」全員が罹患しているかのような。ですが、映画撮ろうとしてたナガイクン、プールでチワワちゃんをあやしてくれてたユミチャンは、違いました。現実世界でもナガイクン、ユミチャンが、全人口の何%かはいることを信じて、どうにか生きていこうと思いましたよ。
でないと、悲しすぎます。
少しはマシな世の中にしていくのは、誰か人がしてくれるわけじゃないものね。
麦さん演じるミキちゃんが「チワワちゃん、何がしたかったんだろ」って。おいおい、それ訊くなら、まず自分に言わないとね。って思ってたら、凌さん演じるヨシダくんもそう思ったんでしょうか、まあ最低のやり方で彼女にそれを示してましたね。と次の瞬間、ヨシダくんも「オレ何がしたかったんだろ」的状態。もはや無限連鎖...
どいつもこいつもいのちの実感がない。浮遊しつつ、踏みつけて、粗末にしまくって。でも、関わってはいない。
もうわかったわかった、みんな傷つきやすいからだよね、どうしたらいいかよくわかんないからだよね、でもさ、そんなんしちゃったら、いのちって、壊れちゃうよ!脆くて、壊れやすい、みな同じなんだから。
監督様、酷い現実を描くだけなら、現実の方がリアル。だから映画は、そのリアルの酷さを生き抜くくらいの、いのちの実感と元気を取り戻せる心の栄養であって欲しい!
でないと、高いお金と労力をかけて作る意味がないのでは?「生きる屍」は、歳の行った人でなく、いまやここに出てくるぴちぴちの若者がそうなのか?アンチテーゼかもしれない、でも監督様、救いがなくて、私には辛すぎました。
原作を読んでみます。でも次回は、生きる屍のような若者に、いのちの温度を宿してくれるような、そんな作品期待してます。