「透明人間が良かった」ちいさな英雄 カニとタマゴと透明人間 nmaibouさんの映画レビュー(感想・評価)
透明人間が良かった
透明人間の予告映像で見ることを決めました。
楽しめた順は1.透明人間、2.サムライエッグ、3.カニーニとカニーノ
・カニーニとカニーノ
水のCGが綺麗。美術も素晴らしい。(美術はジブリで見飽きているといえば見飽きている気もするが・・・)
ただ、カニの話す言葉が中途半端に人語に似せていて違和感があった。いっそ口パクだけで何も話さないくらいでも良かったのでは。
また、ストーリー展開や芝居がありきたりで想像を超えるような場面があまりなかったのがちょっと残念。
ちなみに見る前はカニーノが男の子の名前だと思ってました(笑)
・サムライエッグ
暗くなりかねないテーマを柔らかいタッチの作画と優しい色で描いていて、とっつきやすい。個人的に面白いと思ったのは、ダンスのシーンと最後の走りのシーン。ダンスはカッコよさと躍動感(あとエロス)があった。ただ、逆に言うと他のシーンからは浮いちゃっていたかも。最後の階段ダッシュは死を意識したときの懸命な走り、その熱量が伝わってくる。
・透明人間
主人公は外見が透けているだけではなく存在を周りから認識されていないし、物理的に浮いてしまう。存在感がなさ過ぎて質量もないということかな?(それにしては浮力が強すぎる気もしたが)
あとは途中出てくるオッサンは透明だったのだろうかとか、ペンを拾ってあげたときに一瞬存在が戻りかけた理由とか、色々と考えるのが楽しかった。ただし、アクションとテーマ優先でストーリー展開は若干無理やりな感じはしたので、出来ればそこもじっくり作ってほしかった。
(以下あふれる感想垂れ流し)
鉛筆っぽい強弱のある線画が味があってとても良い。浮遊感のある動き、営業の媚をうるときの芝居、透明な顔を滴る液体、予告映像にもある「透明な人間の体内を通ってカメラが頭から靴まで引いていく」というアイディア、疾走感を出しつつも見辛くない動き、それら全てを魅せるだけの画力、アニメーションの面白さが詰まっていると思う。そもそも透明なものをアニメ―トするという試みがワクワクするのでずるい。
最後に一言:
最初の2本のスタッフクレジットはもっとゆっくり流してほしかった。