「シラノはシラノ・ド・ベルジュラックとかけてるのかな」九月の恋と出会うまで 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
シラノはシラノ・ド・ベルジュラックとかけてるのかな
監督と脚本は『探検隊の栄光』『わたしに××しなさい!』『有り、触れた、未来』の山本透
脚本は他に山田麻以と『世界でいちばん長い写真』『彼女が好きなものは』の草野翔吾
タイムパラドックスを絡めたSFファンタジー
粗筋
元絵描きの権藤がオーナーのマンションに引っ越してきたばかりの北村志織
同じマンションの隣人の平野進の一年後の未来と名乗る声が自分の部屋から聞こえた
一年後の未来とは2019年の9月27日
未来の声は今の平野進を尾行してくれと懇願
しぶしぶ引き受けたが北村の部屋にも侵入した空き巣犯が逮捕されると声が聞こえなくなった
北村はその不可解な顛末を平野に話すと彼はSF小説志望の観点からタイムパラドックスを提唱
未来の平野は平野とは別人と断定した平野は未来の平野をシラノと名付けシラノを見つけて北村が消えないよう辻褄をあわせることにした
そんなある日に北村の茅ヶ崎転勤の話が持ち上がる
未来の平野と名乗る声は明らかに平野を演じた高橋一生の声ではなかった
それは平野の声を知らなかった北村より先に干渉する側がその違和感にすぐ気づく
だが結局のところその声は平野の声だという
これを受け入れることができるかどうかが分岐点だが僕は受け入れた
こんなわりと雑な自分だから楽しめる映画の幅が広がるんだらう
高橋一生や川口春奈のファンからおすすめという意見が多く感じる
話がよくわからないとか難しいとかいう意見も目立つ
理解できないからつまらないという意見も
僕は高橋一生という俳優を好きか嫌いかと言えば好きな方
高橋一生は独特の味あるから
川口春奈に関しては美人は認めるが取り立てて好きでも嫌いでもない
タイムパラドックスの設定に関してはわりとスッと受け入れらことができた
空想科学読本の作者のようにSFについて深く追求するオタク思考はあまりないせいかもしれない
ラブストーリーとしては物足りないという意見もあるがおそらく原作者はそういう具体的な描写が苦手なんだろう
タイムパラドックスの件で恋に発展するのは所謂吊り橋効果かもしれない
浜辺での展開というかネタバラシは少々強引で合理的思考の人たちには納得がいかないかもしれない
僕はそれほど頭が良くないせいかこのジャンルが相性がよっぽど良いのか少なくとも星一つとか二つと酷評することができない
浜辺での2人の演技力とキスシーンで押し切られた形
あと北村志織の写真撮影が趣味という設定は弱すぎる
倉を演じた浜野謙太や祖父江を演じた中村優子はわりと出番が少ない
余談だが浜野謙太はミュージシャンとしての一面もあるが不細工がチェロ奏者を演じると様にならない
配役
小説家志望の会社員の平野進に高橋一生
平野と同じマンションに住んでいる旅行代理店勤務の北村志織に川口春奈
平野と同じマンションに住むチェロ奏者の倉に浜野謙太
小さな劇団に所属する売れない俳優の祖父江に中村優子
北村の職場の後輩の香穂に川栄李奈
北村が大学時代に付き合っていた元カレで権藤は母方の祖父の森秋真一に古舘佑太郎
平野が住むマンションのオーナーで真一の祖父の権藤にミッキー・カーチス