「高橋一生と川口春奈はとても良かったが」九月の恋と出会うまで ironさんの映画レビュー(感想・評価)
高橋一生と川口春奈はとても良かったが
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でも、映画としてはもうひとつ足りないという印象。
進(高橋)が志織(川口)を好きになる過程はわかりやすく、二人で時間を過ごす機会が増えてからの進の表情から「これは好きになるな」と思い、進が志織に誕生日プレゼントを渡すとこで「やっぱり好きになったか」と説得力のある展開。しかし、志織が進を好きになる過程がまるで描かれておらず、アパートを出るとき志織がいきなり泣き崩れたときは、「え? そんなに進を好きになっていたの?いつから?」と違和感を感じた。これは演出の不備だと思う。
あと、このままではタイムパラドックスにより志織が殺されるか消滅してしまうという状況で、進は焦りまくるが、当の志織は、まるで自分が死ぬという話を信じていないかのように普通に振る舞う。この志織の他人事のような態度のせいで、「志織は助かるのか、それとも...」という緊迫感が生まれない。この本来あるべき緊迫感はこの映画の肝なので、これも演出の不備だと思う。
とはいえ、高橋と川口は演技も含めて魅力的であり、映画の出来に関係なくほっこりして、最後は結構ジーンときた。ただ、それまで奥手でおどおどしていた進が、最後の浜辺のシーンで恰好よく登場してプレーボーイのごとく志織に抱き着いたりキスしたりするのには違和感を感じたが。
映画の出来はいまひとつだが、主演の二人の魅力で印象には残るといった、出演者頼りの恋愛映画が邦画には多いような気がする。
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