劇場公開日 2019年3月1日

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「終盤はいいよ〜」九月の恋と出会うまで CBさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5終盤はいいよ〜

2019年3月22日
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鑑賞方法:映画館

主人公は、自分の部屋に届いた1年後からの声で命を救われる。しかし、隣人から、「自分に届いた声を、1年後に、誰かが自分に届けようとしなければ、パラドックスとなり、自分の存在は消失してしまう」と伝えられて、隣人と一緒にその可能性がある人を探していく、という話。

SFファンとしては、「(その小さな矛盾が解消されたとしても)死ぬはずだった人が生きていることで起きるパラドックスは、あまたあるだろう」とツッコミたくなるかもしれない。しかし、この映画(原作)は、「その小さなパラドックスが解消できれば、存在は認められて、その後は問題がない」と大胆に仮定したことで成功している。

というのも、この話はSF的なトリガーを使っているだけで、中身は、"うまく言い出せない男が、成長する物語" なのだ。だから、出会いがあり、わかりあえないままで物理的な別れがあり、最後は… という流れを文学的に楽しみましょう。最後は…の部分は、是非ご自分でご確認ください。

内気そうな性格なのに志織への助言には積極的な平野、平野の "ちょっと突き抜けた話" をすんなり受け入れる志織。たしかに、出来すぎ感の目立つストーリーだが、そこはひとつ「二人は、似た者同士だったんだ」ということで納得しておきましょう。

結末は、できるかできないかハラハラドキドキということではなく、わりと静かなエンディング。謎解きも一気に行われる。ただ、この終盤を俺は、映画的にけっこう好き。

川口さんは、なんだか、こういう素直な恋愛ものにぴったりはまるよなあ。高橋さんとのコンビもうまくいっていた。高橋さんは、ドラマ「ぼくらは奇跡でできている」の延長戦みたいな役柄だったが、さすがの演技。

川口さんには、ニコラ's の先輩格として今後も主役を張っていってほしい。「一週間フレンズ」といい、本作といい、あと一息 何かあれば傑作になれるかもという、微妙な映画が続いているが、引き続き期待してます。

おまけ
過去のいくつかのレビューに、「川栄さんは主役の回りに置いとくと光る」と書いてきた。この映画は、まさにそれ。見事に光っていた。今後も、絶妙なバイプレイヤーとして活躍してほしい。

2021/2/18追記:川栄さんは、森川(葵) さんと並んで、ヒロインの友人として欠かせない女優だ。

CB