「目立たなかった花嫁が最後に全部持っていく」セラヴィ! つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
目立たなかった花嫁が最後に全部持っていく
フランスのコメディ作品で、アメリカのコメディのようなおバカものとは一味違うヨーロッパ映画らしい知性、皮肉、ユーモアがあり、そしてユルい。
全く笑えないというレビューもいくつかあるようだが、コメディは相性もあるからね。自分はかなり笑いっぱなしだった。
個人的に一番笑ったのは、マックスの補佐の女性とバンドのリーダーが無理やり仲直りさせられる一連の場面だ。
マックスの仲直りしろという指示にギリギリ従うが、その態度が気にくわなかったマックスは二人を呼び止めハグしろと言う。それを聞いた二人が「あんた正気か?」と言いたげなリアクションは本当に笑えたし、そのあと嫌々でもハグしてみたら予想外にしっくりきてしまった展開は爆笑だった。
主人公はウェディングプランナーのマックス。彼のチームが仕切る結婚式の1日の出来事を描く。
長年チームを組んできたとは思えないほどみんな自由で好き勝手やっているうえ段取りも悪い。素人同然の臨時雇いも加わり結婚式はメチャクチャ。かと思われたが・・・って感じのハートフルコメディ。
この作品の一番すごいと思うところは、マックスが妻と別れる決意をした以外、始まりと終わりで何も変わっていないことだ。
見方次第、気持ち次第、考え方次第で、物事は良くも悪くも見えるという。
タイトルの「セラヴィ!」は的確に該当する日本語はないのだが、人生なんてこんなもののような意味で、日本人がよく使う「仕方ない」のもっとポジティブな感じかなと思う。
正にセラヴィな作品で良いこともあれば悪いこともある。
観る前に、少し感動するという情報を得ていたけれど、終盤も終盤、マックスがキレてしまった状況からどうやって感動に持っていくのだ?と思ったものだが、そこは一瞬で変えられるのだなと感心した。
一番の主役である花嫁が涙を流すほど感動してしまったのだから、それに異を唱えられる者などいない。ワガママで目立ちたがりで死ぬかもしれない目にあった新郎であっても、新婦を笑顔にしてくれたことにありがとうと言う以外にない。
結果オーライ、これがセラヴィ!
しかし、二次会的な部分も含めた12時間にも及ぶパーティーをプランナーが仕切るのってフランスでは普通なのかな?
とにかくその長さに驚いたよ。