「洪水のようなセリフ劇」セラヴィ! odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
洪水のようなセリフ劇
パーティやセレモニーの仕切りを請け負う会社の社長兼プランナー:マックスと古城で豪華な結婚披露宴を行う一同がハプニングに振り回されるドタバタ劇。
この映画はどの人物に感情移入を置くかで評価が分かれるだろう、社長のマックスなら注文の多い面倒な客と移民の寄せ集めの使えないスタッフに手を焼くさまに同情か、スタッフなら命令ばかりでこき使われるだけの職場にうんざり、宴の依頼主なら、食中毒なんてもってのほかお下劣で段取りのなっていない仕事ぶりに怒り出すでしょう。私はパーティ客の方だったのでうんざりでした。
冒頭から頂けません、マックスは若いカップルの値引き注文にうんざり、なげやりな仕事ぶりから誠意のなさが伝わる、慈善事業をしろとは言わないが人生の一大行事、結婚式稼業なら共に祝福する温かい気持ち、モチベーションが第一だろう。現場に行っても終始誰かが怒鳴っているか愚痴っているか、フランス語の洪水に疲れ果てる。案の定、次から次へのアクシデント勃発、スタッフの思いがけない気転でどういう訳か乗り越えて、怪我の功名、客も大喜びの大団円のラストへの落差づくりなのでしょう、ドラマの定石とは言えお膳立ては観ていて辛い。
メッセージ性としては雇用主は現場の細かいことにいちいち口出ししたり感情的になったりすればスタッフの気持ちは離れてゆくばかり、信頼関係を築くことが基本ということ、ミスは誰にもある、いちいち咎めたり気に病んでも始まらない、それが人生ってもんだ(C'est la vie!)、ということでしょうか。
この監督コンビ、「最強の二人」以外は外ればかり、ドキュメンタリー畑出身だから実話以外は向いていないのかもしれません、もっとも本国では大ヒットというから感性の違いなのかもしれませんね、あしからず。