「微妙な対話劇」教誨師 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
微妙な対話劇
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死刑囚専門の教誨師が個性的な6人の死刑囚と只管、対話する物語。
教誨師は、拘置所で死刑囚と面談できる唯一の民間人、1820人いるらしいが、内仏教系が1191人、キリスト教系が252人、その他377人。無報酬のボランティア活動。
死刑囚との面談も高宮を除いては表面的、罪を咎めるでもなく、相手の話を只管、聞き寄り添う姿勢、映画的には、人数ではなく、受刑者の罪状や動機など深堀りしたエピソードがあった方が面白かったような気もしたが犯罪ドラマではなく教誨師が主人公なので、あえて避けたようです。
劇中で死刑廃止を訴える高宮が「いまだに電気椅子だと思っている馬鹿もいる」と言っていましたが、日本では絞首刑だけとは初めて知りました。
中盤になって教誨師が少年時代の悲劇が明かされ、兄が死刑囚で自殺、まかり間違っていれば兄ではなく自分が殺人を犯していたかもしれないというトラウマ、どうやらそれが教誨師になった動機に思えた。
大杉漣さんの最後の主演作にして初プロデュース作、どうしてこんな微妙な題材を選んだのか・・。元ネタ脚本、監督の佐向大氏が持ち掛けた話で、大杉さんのマネージャーの父親が教誨師をしていたことが関係しているらしいが定かではない、大杉さんは余り乗る気ではなかったようだが「必要な映画だ」と言ってくれたそうです。ご冥福をお祈りします。
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