「【心に染み入る作品。静かなトーンでの会話劇でここまで魅せる作品を作り上げ、演じられた大杉漣さんに頭を垂れるしかない。】」教誨師 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【心に染み入る作品。静かなトーンでの会話劇でここまで魅せる作品を作り上げ、演じられた大杉漣さんに頭を垂れるしかない。】
教誨師:矯正施設にて、被収容者の宗教上の希望に応じ、宗教教誨活動(礼拝・面接・講和等)を行う民間の篤志の宗教家(一部、パンフレットより)
大杉さん演じる、牧師の佐伯が教誨室で向き合い、対話を繰り返す相手は皆死刑囚。
派手な場面はなく、映像は教誨室での教誨師佐伯と複数の死刑囚との会話が続く。
このシーンの死刑囚役の熟達の役者さんと、大杉さんとの圧倒的演技の遣り取りに引き込まれる。
死刑囚を演じるのは、
・烏丸せつこ(あの、カレー事件の犯人を想起させる、饒舌なおばさん、人格が破綻している風を実にリアルに演じられている)
・五頭岳夫(知能が低い感を醸し出したら比類なし)
・小川登(酒向監督の友人で普段は会社員という異色の方:逆に凄さを感じる)
・古館寛治(情緒不安定な男を演じる:安定)
・光石研(ヤクザの親分の虚勢と脆さを巧みに演じる:安定)
・玉置玲央(秋葉原の事件犯を想起させるが、この方の演技にはとにかく驚いた。必見の演技である。)
を相手にした、密室劇と言っても良い作品。
教誨室内のほぼ固定ショットと死刑囚達との会話と所作のみで映画を成立させた大杉さんの力量に今更ながら惜しい俳優が亡くなられたという事実に愕然とする。
大杉さん、有難うございました。ゆっくり休んで下さい。
<2018年10月7日 劇場にて鑑賞>
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