「物語のニッチ」パーフェクト・リベンジ R41さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0物語のニッチ

2025年1月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

基本的には見てて面白い作品だと思う。
問題の解決方法を相手の裏切り行為に気づいたことで突破口を見出すという手もなかなか良かった。
さて、
主人公ロバートという人物
彼が今のアメリカホワイトカラーの典型なのだろうか?
おそらくどの会社も脱税から始まり、その業界によって違うだろうが、このケースに様に不正な株取引など日常的に行われているのだろう。
それは商法上の違法だ。
またロバートは、母の認知症によってヘルパーなどを依頼するが、24時間ではないため家族の誰かが寄り添うことになる。
しかし家族もそれぞれ用があって、母の介護に空白ができる。
ロバート自身も出張でスペインにいる。
このようなストレスが彼の日常化となってしまっている。
そうしたことが重なり、海外で羽を伸ばしてしまう。
この典型的アメリカ人ともう一人の典型がニコラスだろう。
彼は最後にロバートに告白する。
「会社の不正をリークしたのは私だ」
ニコラスにも彼なりの正義があったと解釈した。
彼の正義とは正々堂々とビジネスをすることだろう。
ただその他に関してはごくごく一般的だ。
だからロバートから驚愕するような相談を持ち掛けられたとき大反対したのだろう。
しかし、
これがきっかけとなったことでロバートの正義感を知り、否応なしにでも参戦した。
ニコラスもまた正義を貫き通したことに爽快感を覚えたのだろう。
これで会社を辞める決心がついたのだ。
さて、、
ロバートがサラの危機をカメラで見たことでこの物語が始まるが、彼が早々に行動できなかったことにはとてもリアリティを感じた。
あれが一般的な人の動きだと思う。
ニコラスに相談したことで、サラのアパートまで行く決心をしたのだが、赤ちゃんを預かってしまったことでこの問題に関わらざるを得なくなる。
そしてあのずさんな行動に出た。
ロバートには問題の根幹がよくわかっていなかったが、サラを助けるだけであれば、あの時点で警察へ通報した方がいいようにも思った。
しかも相手はニコラスも言ったように人身売買組織かもしれない。
その背後にある組織を考えれば、普通は警察を呼ぶだろう。
この部分にある彼の判断という設定だけが疑問となってしまった。
そもそもロバートは、娘も言ったように「金で解決する」タイプ。
警察がダメならスペインのセキュリティ会社に頼むほうがいいはずだ。
人身売買の相場は後で出てくるが、彼のポケットマネーで支払えるほど安くはなく、ましてその事実を知られれば、それでは済まないことぐらいわかるだろう。
どれだけサラに入れ込んでしまったのかわからないが、この部分の設定だけは是非が付く。
しかしながら、
その後の展開は面白かった。
ニコラスも言ったが、彼がリークしたことをロバートは気づいていたのだろう。
ホテルでサラの危機を知ったとき、タイミング悪くニコラスが訪ねてくるが、彼はロバートがリークのことを知っているかどうかを探りに来たのかもしれない。
子供を売る
出生届も出さないから存在しないことになる。
産んだ子供への愛情
このことがサラを動かす動機となった。
和名タイトルはパーフェクトリベンジだが、英語タイトルはKilling time つまり「暇つぶし」だ。
英語タイトルの方がよりしっくりくる。
スペイン滞在中のこの出来事は、彼らにとってまたとない暇つぶしになったと同時に、自分の心の芯を再発見したことになったのだろう。
物語のニッチ
面白かったが、微妙なラインでもあった。

R41