劇場公開日 2018年10月12日

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「空想は生きるための豊かな知恵」バーバラと心の巨人 ローチさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5空想は生きるための豊かな知恵

2018年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

邦題が良い。原題では巨人は実在するのかのようにも感じるが、正直巨人の存在の有無に関してはスリルは乏しい。ならば最初から「心の」と銘打っておいて、なぜバーバラがそんな虚構にとらわれているのかに観客の視点をフォーカスさせた方が物語の緊張感が高い。

物語は少年少女の通過儀礼を、一風変わった展開で描き、空想することで人は強くなれるんだということを描いている。アンダース・ウォルター監督は、オスカー短編賞を受賞した『HELIUM』でも同様のテーマを描いている。『HELIUM』では死を迎える子どもが空想することで死に向き合う、本作では空想で生きることに向き合う少女を描いている。

世界には理不尽なことがたくさんある。それを乗り越えるためにも空想が必要。昔の人は天災を神の怒りなどの宗教的な空想感で乗り越えてきたのと同じことだ。これは人間が本来持つ生きるための豊かな知恵だ。

杉本穂高