「少女バーバラによる現実との向き合い方」バーバラと心の巨人 とえさんの映画レビュー(感想・評価)
少女バーバラによる現実との向き合い方
最後は予想外に号泣してしまった
巨人と共に、バーバラの成長を見守っている気分になった作品だった
少女バーバラ(多分中学生ぐらい)には「巨人を倒す」という使命があり、近所に巨人をおびき寄せる罠を仕掛けては、監視している
そのせいか「気味の悪いオタク女」と言われて学校では嫌われてしまっている
でも、本当にバーバラは気味が悪い子なのだろうか
私は高校生や大学生の頃、現実世界で辛いことがあると、映画館へ行っていた
行っていたというより、逃げ込んでいたのかもしれない
その習慣は今でも変わらない
暗い劇場の中でスクリーンに映し出される世界に没頭し、時には笑い、時には涙を流して現実逃避をする
そして、スッキリすると、現実の世界に戻っていくのだ
私の場合は、映画館へ行くことが最善のの方法だけれど、現実の辛さを忘れさせてくれる方法は人それぞれ
この映画の主人公バーバラの場合は、それが「いつか巨人がやって来て町を破壊してしまう」という話を信じ込むことだった
その「いつか」がきた時のために、バーバラは巨人を捕獲する罠を作り、巨人を倒すために強くなろうとしていた
ゾーイ・サルダナ演じるスクールカウンセラーのモル先生と、転校生のソフィアは、バーバラのそんな現実逃避を知り、彼女を現実に引き戻そうとする
しかし、私たちも、現実逃避している最中に現実に戻れと言われたとしたら、
例えば映画を観ている途中で強制的に席を立たされても
全くスッキリせず、むしろ欲求不満になってしまうように
周りの人たちが強制的に「バーバラ戻っておいで」と言っても、いきなり目を覚ますことはできないし、むしろ逆効果だ
現実に戻るタイミングを決めることができるのはバーバラ自身であり
必ずどこかで、巨人と決着しなければならない
そして、最後にその時はやってきて、
巨人はバーバラにとても大切なことを教えてくれるのだ
その瞬間、私は号泣だった
どんな勇者でも、現実を避けることはできない
けれど、その時、バーバラは現実を受け入れられる程の勇気を十分備えていた
そして、バーバラは大人へと成長していく
バーバラの成長と、それを見守る巨人の関係も良かったけれど、彼女が困った時にはいつも側にいるモル先生とソフィアもすごく良かった
彼女たちの優しさに心が温かくなった
そして、最後の巨人がとてもかっこよかった
大切なことは、現実から逃げ続けてはいられないということであり、
誰もが、必ず心にいる巨人と戦わなければいけない時がやってくるのだ