劇場公開日 2019年9月20日

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「出会いは、小さな奇跡の連鎖でできている」アイネクライネナハトムジーク parsifalさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5出会いは、小さな奇跡の連鎖でできている

2023年10月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

メインとなるストーリーは、三浦と多部であるが、三浦の友人夫婦、その娘とボーイフレンド、三浦の先輩とその妻、三浦の先輩の娘と耳が聞こえない男の子、ボクサーとその妻の出会い、つまり6つの出会いが絡み合って進行する。
 何故、その人と付き合うことになったのか? 選んでみて、後でその人で良かったって思える出会いが一番。そんなフレーズが何度か繰り返される映画。
 自分には、今ひとつピンと来ないフレーズだった。同じことの繰り返しになりやすい日々の暮らし、そして人と人との付き合い。その人を選ぶ、後押しとなる理由が欲しい。ボクシングの勝者への賭けに、告白するか否か、自己肯定等を託す。中途半端さ、曖昧さに対して、寛容。
 便利で快適、人に同調して和を大事にして生活していると、何が大切なのかわからなくなってくる。この映画に登場する人物の多くは、はっきりしない性格とはっきりした性格に分かれる。三浦、多部、三浦の先輩、友人夫婦の娘のボーイフレンド、ボクサーの妻は、はっきりしない性格。三浦の友人とその妻、その娘、ボクサーは、はっきりした性格。はっきりしない性格の人たちが、自分を後押ししてくれる理由を求めている。
 監督は、そうした人たちにも優しい眼差しを向けているように思える。しかし、同時に思うのは、相手を傷つけないように、自分が傷つかないようにが主で、ぶつかり合いが少ないことだ。深いところで繋がらないと、本当の関係にはなれないのでは? ただ、現代の人間関係のほとんどがそうなっているとも思える。現代人への優しい応援歌のような映画だった。
 多部ちゃんファンなので観たが、以前よりも目鼻立ちがくっきりして、綺麗になった。多部と三浦は、美男美女の黄金コンビだっただけに、惜しい男優を亡くした。三浦春馬に哀悼の念を捧げたい。

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