シシリアン・ゴースト・ストーリーのレビュー・感想・評価
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悲惨な事件の美しい愛の物語
題材となった事件は凄惨なものだが、本作は詩的な美しさがある。美しいシチリアの自然の中の少年少女の青春ドラマから一点、少年の失踪によって物語は犯罪ドラマへとシフトしていく。撮影監督がイタリアきっての名カメラマン、ルカ・ビガッツィだが、事件そのものがまるで幻想であるかのような印象を抱かせる映像を作っている。結末が圧倒的に悲惨なものだが、それすら美しく撮ってしまう。
実際の誘拐事件の犯人を告発する素振りは映画には一切ないし、悪を断罪するでもない。本作が描くのはゴースト・ストーリーというタイトルが示す通り、死を超越した愛だ。少年と少女の想いは肉体と現世の縛りから逃れ昇華する。
これを事件を美化していると観てしまう人もいるかもしれない。しかし、悲惨な事件を悲惨だと消化して、どれだけの人がその事件を憶え続けることができるだろうか。この美しい愛を観た人は、それゆえに残酷な現実を決して忘れないだろう。
多くを語らぬストーリー
何の下調べもせずに鑑賞しただけに、あまり観慣れぬ構成に正直焦った。かなり美しい映像も度々あるのだが、半分以上は暗闇?と思えるほどのよく様子のうかがえないシーンの連続と、ほとんど説明らしい説明のないストーリー展開に困惑してしまう。
イタリア映画らしく雰囲気はとても良いのだが、好き嫌いで言えば本作はやはり微妙。
ふいの悟空と、神秘的というかさわやかというか少し場違いに思える音楽は印象に残ったが…まあちょっと、個人的には残酷ものは苦手だし、2度は観る気がしないのが正直なところかな。
イタリアでも流行っているドラゴンボール
シチリアの海に癒される・・・とはいえ、最後のテロップには驚かされる。時間の経過があまりにも伝わってこないため、どこからが回想シーンでどこからが現実なのか掴みづらい。もともとショートヘアの13歳の少女ルナ。「つき合ってほしい」とラブレターを書いた直後に失踪した少年ジュゼッペのために、「ジュゼッペがいなくなった。どうする?」といったビラをも配る。が、その時青色に染めた髪。親に怒られ丸坊主・・・時系列がハッキリしてるのはここだけ。
湖の中での妄想や、徹底的に追及しようとする姿など、サスペンスタッチではあったのだが、ここから話が混沌としてくるのです。結構入れなくてもいいシーンを挿入してあるため、ジュゼッペは現実なのか夢なのか・・・がわからなくなる。
悲しい事件ではあるけど、もうちょっとわかりやすく作ってもらいたいところ。湖に何かを沈めるシーンも長すぎ・・・正体がわかったときには思い出したくなくなってしまいます。対照的に美しい風景が登場するため、シチリアに行ってみたくもなります。
【切なくも哀しすぎる少年少女のラブ&ダーク・ファンタジー作品】
舞台は1993年、シチリアの小さな村。
13歳のルナは同級生の美しきジュゼッペ少年に恋をし、想いを手紙に託す。ジュゼッペも嬉しそうだ・・。
だが、その日からジュゼッペは姿を消してしまう。
ジュゼッペとの交際を許さなかったルナの両親始め、ジュゼッペの両親(特に父親)、周囲の大人たちも少年の失踪に無関心を装う。
ルナと親友ロレダーニだけが、髪を青く染め、”ジュゼッペがいない、どうする!”という言葉を載せたチラシを町の人々に配る・・。
ここからは、ルナがジュゼッペを深く想うが故の幻想的なシーンと現実が交互に映し出される。
そして、シチリアの美しい自然も共に映し出される。
傷ついたジュゼッペの姿、だが、ルナに対してはかつての優し気な表情のジュゼッペが寄り添う・・。
<エンドロールでテロップで流れた”戦慄すべき事実”の衝撃に、劇中の幻想的な映像の内容が全て氷解しつつも、
ルナが新しい世界に踏み出したことが分かる、ラストの明るい海岸の姿に少しだけ救われた気がした作品。>
可愛らしい
ルナもジュゼッペも絵になる。
風景も良い。
こんな残酷な映画にするのはもったいない位、ずっとふたりを観続けたかった。
永遠じゃない美しさを表現してくれたのかな?
ルナのママ、ちょっと許せないなぁ💦
恋の魔法
シシリアンゴーストストーリー、なるほどな。
どう言う展開になって行くのかと思ったら
そうだよな。
実話が元だとドラマチックな結末は訪れないよな、
と分かってくるのだけど、
その悲惨な物語を美しくロマンチックな映画にした
脚本と映像は素晴らしいと思う。
ある意味これも恋の魔法だったのかなと
15歳の純真が見せてくれた夢だったのかなと思うと
妙にリアルだった。
川に投げ入れられた残骸を
底につくまで撮っていく、あの映像は恐ろしさの中に
美しさもある不思議なカットだった。
ところどころ、何がどうなってるのか分からなかったり
ダルいと思うところもあったけど、
ラストの海辺のシーンは最高だった。
彼は彼女の中で永遠に生きて行くのだな
と思える最後でした。
驚くくらいに染みず響かず
設定、ストーリー、画の美しさ、控え目な脚色、全部ツボ。だがしかし、自分でもビックリするくらい、心なびかない。
奇譚に少女の成長物語を被せた物語は、美しい風景画の中で静かに進行していきます。監禁された少年の絶望、動いてくれない大人達への失望。良いんですけど、全部。
恐れず言わせてもらうと、主役の女の子が全部をぶち壊してる様な気がして。広瀬すずかよ?
残念だったぁ(短い溜息)。
分かり難い
凄惨な事件を幻想的に美しく表現している。しかし幻想的な世界に凝り過ぎる点が逆効果となりストーリーが分かり難く感情移入も全く出来ない。途中は何度か眠気にも襲われzzz…淡々と時間が過ぎた。
2019-87
少し冗長に感じられてしまった...
イタリア・シチリア島で実際に起きた誘拐殺人事件が下敷きとなった少年少女の悲恋物語。マフィアに誘拐された少年ジュゼペを、彼に好意を抱く少女ルナが捜してゆくストーリーですが、実際に彼女の回りで起こっていることと、彼女が妄想・想像してることとが、切れ目なく描かれているので、観る者からすれば展開が少し分かりづらかったと感じたのが素直な印象。心象風景の映像は観ている分にはとても綺麗なのですが、話の展開がゆっくりなので、ついつい私も夢の世界に落ちてしまって... おそらく、この悲惨な誘拐事件を風化させまいと言う思いでこの作品が作られたのではないかと推察しますが、その思いとは裏腹に、マフィアと言う犯罪組織の中で行われてた一つのリンチ事件を描いただけのように感じてしまったのは私だけでしょうか?作品の舞台となったシチリアの風土や存在悪としてのマフィアと現地の人々との関わり方についてもう少し描写があれば違った受止めが出来たかも知れないな、と思いました。
純愛
科学的に証明されていないだけで、肉体と精神の「あわい」にたゆたい続ける感覚を私たちは知っている。現実の経験と魂の経験の差異はどこにあるかという問題。
救えなかった少年の魂に少しでも寄り添い、鎮魂の祈りを捧げるには、この問題に深入りするしかない。
人間の魂は幻想ではない。生者の証だ。夢によって魂は融合する。純愛とは相手と同じ夢を見れること。
そして、肉体が自然(シシリー島の海へと流れる水)に還ると死者の証は消え、生者でも死者でもなくなった魂は高次元の世界へ向かうのかもしれない。
「私とつきあって。もしイエスならあなたと一緒に夢を見るわ」こんなに美しい告白を私は聞いたことがない。
タイトルなし
森で犬に追いかけられるシーンで、犬の鳴き声に一度目だけでなく、何度も驚きました。
その後眠ってしまい、気がつけばジュゼッペは監禁され、彼女はだんだん病んでいき...
ジュゼッペの父が何をしでかしたのか、大事な部分を見落としてしまった。(そういう説明はなかったのかもしれませんが...)
結局ぼんやりしたまま見終わることになりました。
画面が終始暗くて、聞きなれない外国語、仕事終わりの疲れもあり、眠気に勝てませんでした!
鎮魂のための映画
美しい自然に包まれたシチリア島。
マフィア発祥の地でもある。
子供たちも悲しい現実に巻き込まれてゆくが深く根を張るマフィア社会。助けてくれる人はいない。
絶望的な環境の中、犠牲になった少年への鎮魂のための映画と解した。
着眼点は良いがイマイチ理解し辛い作品。
1/9(水)に、ミニシアターの京都シネマまで、年老いた父親と一緒に京都市営地下鉄に乗って劇場鑑賞に出向きましたが、この作品『シシリアン・ゴースト・ストーリー』を観るのか『家(うち)に帰ろう』を観ようかと迷った挙げ句、結局、Twitterなどでも評価が高い本作品を鑑賞。
率直な感想としましては、イタリアのシチリア島で起きた誘拐監禁事件をモチーフに、13歳の少女ルナ視点で、失踪した同級生の少年ジュゼッペの行方を捜すダークファンタジックで幻想的なラブストーリーと事前に知った上で、鑑賞に臨みましたが、少女ルナの視点で観ると、美しくも切ない恋物語なのかも知れないですが、被害者のジュゼッペの視点では限りなく冷酷で絶望的な映画としか思えなかったですし、何故に、ロッテントマト(全米映画批評サイト)でも94%以上の人々が支持し、高評価を付けている映画なのか理解し難い作品でした。
悲惨な実話を基にして独創的な寓話的なラブストーリーにした着眼点は良いのですが、正直なところ、上映開始15分くらいで睡魔に襲われてしまうほど、お話しが冗長過ぎて、非常に眠くて、薄目を開けながら観ていたくらいでした。(実際には寝てまではいませんでしたが・・・。)
幻想的なラブストーリーにしては、123分間の上映時間もあまりにも長過ぎた点が惜しまれましたので、不必要な感じもするイメージシーンを大幅に削除すれば、もう少し目を凝らしながら、感情移入しながら鑑賞出来たかも知れなかったですね。
また、ギレルモ・デル・トロ監督の『パンズ・ラビリンス』などの世界観と比肩して批評している意見もあるようですが、今作品には異形のクリーチャーも出て来ないですし、あの独特な世界観とは少し違う様な気もしました。
最後の「献辞」で、この作品の出来栄えに納得される観客も多いのかも知れませんが、私は事前にそれも知って観ましたが、それでも、イマイチ理解し辛い作品としか思えなかったです。
幻想的な雰囲気を醸し出す劇伴や様々な環境音も工夫を凝らしてありましたが、眠気を助長するような劇伴でしたので、この作品においては、観客の眠気を覚ますような音楽を期待したかったですね(汗)。
とは言え、この映画で、特筆すべき点は、主演のルナ役のユリア・イェドリコヴスカも、ジュゼッペ役のガエターノ・フェルナンデスにしても、映画初出演の新人ながら、初々しくまた瑞々しい演技で魅了してくれていた点では、一定の評価に値するかとは思いました。
映画『ゲティ家の身代金』は生憎と未見ながらも、あの映画の誘拐事件とも同様に、シチリアンマフィアの恐ろしさは、当地の政治家や警察当局とも根強く結び付いていて、そう易々とは退治できない事に起因している、この映画のベースとなった、ジュゼッペの拉致監禁、そしてその最期は悲劇としか言いようがなかったですね。
私的な評価としましては、
悲惨な事件を基に、独創的で寓話的ラブストーリーにして映像化している着眼点は良いのですが、幻想的なラブストーリーにしては、2時間3分は長尺過ぎた点が惜しまれましたし、もっとメリハリの利いたコンパクトな仕上がりの映画にしてくれた方が良かったかなとも思いました。
私の様に、ジュゼッペの末路を事前に知った上で観てもイマイチ理解し辛い作品でしたので、私と一緒に鑑賞した年老いた父親は事前に予備知識も全くないままに鑑賞に臨んだので、最後の「献辞」を目にしても、「ホンマにイマイチよく意味合いが判らない映画やったなぁ~。」と、殊の外かなり残念がっていました。
決して難解な映画という訳でもないのですが、イメージ映像を自分で感じ取って観るような類いの作風でしたので、ある種、この作品は、謂わば観念的な映画に属するのかも知れないですね。
決して嫌いな映画という訳ではないのですが、私の場合には、観念的映画はどちらかと言うと苦手な方なので、厳しい評価になるかも知れないですが、五つ星評価的には、★★★☆(70点)の三つ星半の評価とさせて頂きました。
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