「440Hz」ラ ねぎしさんの映画レビュー(感想・評価)
440Hz
きっかけは好きな俳優さん目当て、たぶんその人が出ていなかったらこの映画には出会えていない。そんな巡り合わせで観るに至った。
よくある音楽映画とは違う。むしろ、これは音楽映画なのか?という疑問が生まれた。強いて言うなら劇中に出てくる「鼓動」「キボウノリズム」がすごく耳に残る。映画でしか聞けないのが勿体ない。シンプルにサントラ販売希望。
画面から役者・監督・スタッフの熱量がこんなにも伝わってくる映画は初めてだった。
正直一度観ただけでは、消化しきれない。だから、こうして何度も足を運んでおかわりする人がいるのかと、リピーター続出の訳に納得した。実際、わたしもまだ消化しきれていない…
出てくる登場人物、全員が役として生きて、存在していた。どこかで本当に慎平が、ゆかりが、黒やんが同じ時代を生きているんじゃないかというくらいに、120分の中に人間味が溢れていた。息するのを忘れる。
一番印象に残ったのは、"ゆかり"。恐怖を感じたが、あんなにどうしようもないクズである慎平のことをずっと好きでいて、支えて、自分が苦しい時でも「慎平くんは何もしなくていい」と言える強さ。同時に助けを求められない弱さも兼ね備えているんだなと。同性として、かっこいいと思った。あのノートは慎平との繋がりを失わないための手段の一つなのかな思った。
慎平は本当に何もできないクズなんだけれど、何故か憎めない。世の中の綺麗なところしか見てこなかったの?ってくらいに純粋。逆に怖さを感じる。そして、本当に黒やんのことが、音楽が大好きなのがわかる。伝わってくる。黒やんに裏切られた時のあのみっともない、かっこ悪い殴り合いはリアル。
黒やんは、あの一件がなければ、きっとまだ音楽続けてたんだろうな。舞台挨拶で話をきいてて、"黒やん"についてめちゃめちゃ考えて出した演じ方なんだというのがすごく伝わってきた、劇中は黒やんから目が離せない。
来場者特典、「ソ」「ソ♯」、アドリブとは思えない。この2つのストーリーを観てしまったら、足が勝手に劇場へ向かうと思う。映画の見方が変わった。
そして、主題歌の「REBORN」、歌詞が本当にこの映画にぴったりだと感じる。心に響く。
インパクトのあるタイトル、観終わった後に納得した。この作品が生まれて、育って行く過程を観れることも楽しいと思える。もっと色んな方の目にとまりますように。