「踏み留まる覚悟」空母いぶき しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
踏み留まる覚悟
WOWOWプライム「メガヒット劇場」で鑑賞。
原作マンガは未読です。
原作で武力進行して来るのは、本作のような架空の国では無く、日本海を挟んで向かい側にある大きな国だそうな…
公開当時、この改変が批判の的になっていましたが、「大人の事情」的に致し方無かったのではないかなと思いました。
製作委員会方式のために、各所からの意見はきちんと反映させなければいけなかっただろうし、言うことを聞かなかったら制作費を出してくれなくなったりするだろうし…
しがらみがある中で、国防、憲法九条、専守防衛と云う難しいテーマをよくぞエンタメに落とし込んだな、と…。シビアな問題に挑戦した製作陣に拍手を送りたくなりました。
戦闘シーンはけっこう迫力があって、日本映画にしてはVFXを頑張っているなと思いました。戦闘指揮もかなり緊迫感があって、めちゃくちゃ興奮させられました。
ハリウッドのアクション映画みたいにボカボカとミサイルを撃ち、ドカドカ派手に爆発すると云う描写はあまり無く、攻撃と迎撃のスマートなやり取りがリアルでした。
いただけなかったのは、「日本国民のパニック描写が足りないのでは?」と感じられたことです。中井貴一とまいまい(深川麻衣)の働くコンビニでの様子を映すだけだったので肩透かしでした。確かにみんな買いだめに走るでしょうけれども、それだけじゃあ無いでしょうよ。物足りなかったです。
踏み留まる覚悟を持てるかどうかが、戦闘から戦争への発展を回避する唯一の方法でした。そもそも戦闘すら引き起こしてはいけない。世界の国々で日本だけが戦争放棄を憲法で謳い上げている。その誇りが現行政権、もとい周辺情勢の緊迫化によって踏みにじられそうになっている時勢ですが、それだけはどうかどうか、踏み留まって欲しいと願わずにいられません。
※以降の鑑賞記録
2020/07/05:WOWOWシネマ
2020/10/12:Amazon Prime Video(レンタル)
※修正(2023/04/11)