「今後かわぐちかいじ作品は買わないと思います」空母いぶき terryasmさんの映画レビュー(感想・評価)
今後かわぐちかいじ作品は買わないと思います
空母いぶき観てまいりました
私は強い右でも左でもなく、映画は何を観ても割と単純に面白かったと思うタイプの人間です
自分の感想は結論から言うと架空の海洋戦闘映画として観れば星3.5くらいですかね
自分としては辛目な採点です
いぶきに乗り込んだマスコミ2名の意義がまったくと言っていいほど描写できていないし、特に取材している様子も衛星携帯し刻々と配信しているでもない
というか情報タレ流せるような設定自体が馬鹿げています
コンビニの場面はまったく不要、映画の質を下げているだけとしか思えませんでした
なんでわざわざあんな絵を入れたのか?まったく理解できません
西島秀俊主演ということで、あーまたあのニヤニヤ笑った顔でやられるのかと危惧していた部分は予想通りでした
また物議を呼んでいる佐藤浩市のインタビューですが、映画を観るとただ右往左往するヘタレな首相のイメージで是か非かは置いておいてインタビューで言っていたようなことはまったく映画内で表現できていないって役者としてどうよ?って思いました
戦争に死者が出ることは、悲しいことですが致し方が無いとしても、柿沼パイロットを甲板上で安易に死なせる意味も見出せない
どうしても入れたいなら打たれて重症くらいで充分です
あの部分が自分にとっては非常に後味の悪い映画となりました
マスコミはまだしもあのコンビニの絵で時間取るくらいなら、家で待つ写真の母子の気持ちを描写をしていれば、作品としてあの部分で柿沼パイロットを殺すことは無かったのではないかと感じます
では「空母いぶき」の名の元の映画として観ると、非常に残念な映画で星1.5(0.5はおまけ 笑)くらいですね
私は「空母いぶき」という物語は現実の護衛艦いずもの空母化を考えざるを得ない、現在の状況を背景とした物語だと認識しています
だからこそ原作も人気があるのでしょう
侵略国を中国と明確にしないとしても、建国数年の新興国が尖閣列島を占領してきたという設定になると、日本が苦慮した上で空母を建造し保有せざるを得なかったという部分がまったく説明できない
逆に映画の最後の方のニュースのセリフを聞くと空母を持ったから戦争が始まったのかもっぽい安易なセリフが挿入されている
9条議論は別にして、多くの国民を失った戦争以来、実感として平和であること戦争が無いことの大切さを殆どの国民が理解する国において、空母を持たなければならないという状況について一切語られていない
原作の読者はその部分を観にきた、映画という媒体を通じて多くの人にそれを考えて欲しいと思っておられる方が多いことでしょう
しかしその部分が一切抜け落ちていることが、この映画に対する非難につながっているのだと感じます
映画のエンドロールで監修 かわぐちかいじ と出ていたと思いますが、この作者はどうしてこの映画を認めたのでしょう?
自分の結論はひとつ
要するにこの作者は、言われているような日本の問題点や矛盾点、我々日本人がどうあるべきなのか?などを提起して作品を作ってるような人間ではなく、そういう題材で書けば本がよく売れていい商売になると思っているだけの人だったということでしょう
読者側はこの作者に対して大きな期待をし過ぎていたっていうことなんでしょうね?
自由な国での合法的な商売ですから何を書くのも自由ですが、私個人はそういう自分のポリシーを持たない作家の作品を今後買うことはもう無いと思います
あ…一応空母いぶきは単行本12巻買っています
連載はその後どこまで進んでいるのかは知らないのですが、この映画の結末認めた上でどういう落ちに持っていくのか?はちょっと興味あるので続巻だけは買うかも知れません