「全然美しくないベルギーの町」ともしび asicaさんの映画レビュー(感想・評価)
全然美しくないベルギーの町
そもそもここの舞台がベルギーって言うのも全然わからない。
終わり近くでクジラが打ち上がったニュースを子どもの母親が新聞を読んで聞かせる地名がオーステンドっていうので(それも検索してやっと)、ベルギーとわかった訳で。
フランス語に聞こえるしフランスだと思っていた。
でもこの女優さんはイギリスの人で、こんなにフランス語って話せるものなんだ、と別のところで感心した。
上手か下手かなんてもちろんわからない。
わからないというのはもう この映画が全く不親切極まりなく、少しでも見逃すともうさっぱり糸口を逃す。
しかも、ワザとそのキーポイントを映さない。
警察に行くのも留置場にいるのもまして逮捕も裁判もなくていったいどこに行ってるのか、見る前の説明を読んでなければ全然わからない。
あまりにもわからないから監督のコメントを探してみたら
主役のこの女性の生き方自体に焦点当てたくて、そこがブレるからわざと明らかにしなかった、とあった。
ヨーロッパもアメリカも、児童に対する性的な虐待は厳しい。
息子にもこの父はそうしていたのが、留置場の面会で知れる。
息子はでは母親をもなぜそこまで憎むか。
それは多分、この母が自分の夫の性癖を多少はわかっていたのにそれに気付こうとしなかったから、としか思いつくことは出来ない。
初っ端の奇妙な叫び声も
(突然でびっくりする)
自分を解放するとかナントカのセラピーかと思っていたら演劇学校だというので、へえええ、とこの女性の行動力にいちいち驚く。
プールにも会員となって通ってるし。
その更衣室での着替えのシーンは衝撃的で
話の重要なポイントは全然見せないくせにこういうのは遠慮会釈もなく映し出すのだ。
しかしこのプールの更衣室の薄暗さ古さは、最近の日本人なら抵抗ある人は多いと思う。
プールもなんだか清潔感ないと言うか、入りたい気持ちにはさっぱりならない。
あれってもしかしたら温水か?
ヨーロッパではお風呂屋さんのような感じで水着着て入るところがあると聞いた気がする。
じゃなければ屋外でプールは緯度的に相当無理がある。
もしかしたらここは東欧のどこかなのか?と思ったのはクジラの浜の奥の建物。
東ドイツやチェコあたりの元共産圏の国にみられる建物だ。
ヨーロッパでは移民対策として貧困層用にああいった集合住宅がある。
(こう言うのを見るにつけ政府の移民受け入れの体制には注意が必要であると切に思う。
映画の筋とは離れるが、移民は確実に治安を悪くし民度を著しく下げる。まして日本政府は移民含め外国籍の者に手厚い保護をしようとしているし選挙権も渡そうという団体もある。イギリスなどはイギリス人以外は税制的にも将来の保証的にもかなり厳しい。国民皆無料の医療システムもそれを受けるためには多額の費用を支払う)
ベルギーも本来は美しい町なのだろうと勝手に思うが(行ったことないので)、この映画では殺伐とした風景しか出て来ない。
それがもう このシワシワのおばあさんと相俟って
気分は暗澹。
カサブランカの花の柱頭や花粉をむしって取り除いているのは花を保たせるためなのだろうか。
私も間も無くこの彼女のような年齢に達し、夫とも死別し、似たような境遇になるのだろうけれど、
今のところこの彼女に対する共感は、幸いにも1ミリも湧かなかった。