「映画を観終わった後、」ともしび ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
映画を観終わった後、
極力説明を排除した物語なのは、きっと、多くの人に多かれ少なかれ、特に年齢のいった人には似たような経験や境遇があると考えたからではないだろうか。
セリフも少なく、音楽もない。
街に活気も感じられず、地下鉄には怒りが溢れ、 灰色の空は重苦しさを募らせる、
そして、余計だと思われるものを削ぎ落として、削ぎ落として、アンナの表情や佇まいを静かに追いかける。
映画を観ている間中、アンナの心の動きに注意を払い、解答らしきものはないか、探して、想像して、追いかけてしまう。
こうして映画はエンディングを迎えるが…、そして…、映画を観終わった余韻の後に、自分や、自分の周りの人々、そして自分の未来を想像して、胸が苦しくなるのを感じる。
僕は、アンナは、自分の余計な荷物を整理しながらも、強く再び生きて行くのではないかと期待している。
アンナの強い表情に、孤独に向かう強さを感じる。
最後の場面で、打ちあげられたクジラの死骸を思い出し、もしかしたら、アンナは死に向かうのではないかとハッとさせられたが、そうではなかったから。
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