家(うち)へ帰ろうのレビュー・感想・評価
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エンドロールは涙を乾かすためのもの
前半は不覚にも眠気におそわれた。でも、実際にヨーロッパに渡るまでは、なかなか興味がそそられない気がしたのだが…
序盤のタンゴ中心の軽快な音楽が、徐々に哀愁を帯びたものに変わっていき、それとともにこちらの気持ちが物語に引きつけられていき、目頭が熱くなっていき、最後は恥ずかしいくらいに涙と鼻水にまみれてしまった。
なんといってもアブラハム役の名演が光る。後半は彼の表情を見るだけで、全てが伝わってくる気がした。
一つだけ付け加えておくと、この映画は決してハッピーエンドなどではない。
家へ帰ろう
当事者にしか分からない心の奥底に隠した傷は70年という年月が培った人々の優しさに包み込まれ身も心も安息の地へと導かれていく。彼の静かな怒りを受け止めるのは人類の母である多様な女性たち。ドイツ人文化人類学者との会話には涙が溢れたし、あの服の道がとてつもなく美しい
今からでも
今からでも全然遅くない。
年齢なんて全然関係ない。
会いたい人、行きたい場所、やりたいこと、多分皆んな絶対にあるはずだけど、色々な事情で封印しているだけ。だけど主人公のおじいさんは、お金を盗まれても死にかけても怖くても、勇気を出したから沢山の人達や沢山の景色に出会えたんですよね。
主人公をホロコーストの生き残りにしたことによって、私自身も「生きている」今を実感できました。「生きている」からこそ、やりたいことがあり、やれることができるのだと。
私も絶対にやりたいことを全部やってやろう。
そんな勇気と前向きな気持ちをこの作品から貰いました。
70年かけた友情に感動!!
とても良い映画だったなぁ
第二次世界大戦から70年が経ち、忘れてはいけないことと、新しい時代に生きる私たちが考えなければいけないことを思った映画だった
ポーランド生まれのユダヤ人アブラハムは、70年ぶりに、現在住んでいるアルゼンチンから、故郷のポーランドへ帰る旅に出る
何より、この映画の中で良かったのは、親切や優しさがリレーされていくところ
主人公のアブラハムは、どう見ても、偏屈な頑固じじい
それでも、アルゼンチンから、ヨーロッパへやって来た彼に対して、周りの人たちはとても親切に接し、彼らの助けがあって、アブラハムの旅は目的地へと向かうことができる
その旅を人生の縮図だと考えるなら、人は、常に誰かに助けられて生きているのであり、その途中で、生きるか死ぬかの思いをしても、その命を助けてくれる人が現れる
だから、最後まで希望を捨てずに生き続けなければいけない
ユダヤ人のアブラハムにとって、第二次世界大戦中にドイツ人から受けた仕打ちは、消し去ろうと思っても、身体に染み付いてしまっている痛ましい記憶
しかし、それから70年が経ったヨーロッパでは、その事実が風化されようとしている
この映画では、その現在のヨーロッパの実情を描きながら、風化させてはいけないという思いと、ユダヤ人のアブラハムとドイツ人の交流の両面を描いている
ドイツ人とユダヤ人が、互いを理解し合う気持ちも大切だし、かといって、第二次世界大戦で起きたことを風化させてもいけない
ということへの強い思いが、そこにはあるのだろう
それはきっと、右傾化するヨーロッパの中で、あの時、何が起きたかという記憶を失くしてしまうのはとても恐ろしいことで、そのためにも、互いに助け合う気持ちが大切だということなのだろう
なぜ、アブラハムは、70年前に、生まれた家を離れ、遠く離れたアルゼンチンへ移住しなければいけなかったのか
何が親友との仲を引き裂いたのか
そして、彼らのような犠牲者を出さないために、新しい時代の私たちは何をすべきかが問われている映画なのだと思った
過去に起きた出来事から学ぶことで、初めて私たちは、前に進むことができるのである
知らない関係だからこそ本音が話せる。 頑固な老人が偶然出会う人々に...
知らない関係だからこそ本音が話せる。
頑固な老人が偶然出会う人々に思わず心を開く、ポツリポツリと語られる言葉でゆっくりと見えてくるホロコーストの過去と彼の人間性、ユニークで無謀で人情味ある、その人となりがまた味わい深い。
直接的な映像や言葉が無くとも充分に伝わってくる非情な酷い事実、その無駄の無い表現力が素晴らしく、ぐいぐいと引き込まれ気がついた時には号泣していた。
キラキラして幸福感に満ち溢れている回想シーン、お星様が眠らない話がとても素敵だった!
歴史的な事実はどこにあるのかわからないのだが、彼の深い心の奥は垣間見ることが出来た気がする。
ロードムービー、やっぱり好きって思わせてくれる傑作。
傑作だと思う。
年の瀬に、今年最後の作品として何を観るか、どこかワクワクしながら悩む。
選択、間違ってなかった。
素敵な、とっても素敵な作品だった。
ユダヤ人の老職人、仕立屋。平気で嘘をつく。どこか怪しげ。突き動かされるように旅に出る。旅に出る理由がだんだんと明らかになっていく。
旅の途中でめぐりあう女性たち。みんな魅力な大人たち。ほんとに素敵な人ばかり。
目的地に近づき振り返る過去、せつない、やり切れない。人類史の大きな挫折のその核心に居た、いや、居させられた。
ラストシーン、言葉にならない。
深いところから涙があふれる。
ロードムービーの新しい傑作。
ほんとに素晴らしい作品に出会いました。
正直、いろんな人にみてほしい。
突然のあのシーンが素晴らしい
まんまと騙されました
サッカーでいうフェイント
手品でいうと派手な右手の動き
背景のテーマが重かったので どうなることやら と思っていたら
濃くもなく おしゃれな軽妙でもなく チェーン店じゃない町の定食屋て感じで良かった
あのシーンていうか カットは今思い返す限りでは 生涯No.1ですね
「The Last Suit」「家へ帰ろう」
「The Last Suit 」というタイトルが、邦題では「家に帰ろう」に。
両方ともこの映画のキーワードです。
しみじみ見て良かったと思う映画でした。(^_^)俳優さん達も演技が上手くて、話にのめり込みました。
時間も100分程度で、長さもちょうどよかったです。
是非映画館で観賞してください。オススメの一本です。
言葉より行動
過去を踏みしめ、現在を愛し、未来に向き合うと決めたおじいちゃんのロードムービー。
厳しさも感じるけれど優しさに溢れていて、予想以上ボロ泣きしてしまった。
88歳の脚を患う老人の決して短くない旅は、何かハプニングが起こるたびにハラハラする。
お金の余裕は心の余裕。宿にて盗難にあってからの彼の弱りっぷりはしんどくいたたまれない気持ちになった。
しかし旅中に出会う人たちは近くにいた家族よりもずっと親身で暖かい。
あのうちの誰か一人でも出会えなかったら旅は途中で終わっていただろう。
アブラハムもだけど、出る人出る人なんだか癖アリで魅力的。
飛行機でのアブラハムの策士っぷりが好き。
なんてウザい老人なんだ、と思いきやの寝床確保。
フライトの間レオナルドはどこに行っていたんだろうか。
出会い方は良くなくても懐くと素直でいいヤツ。
宿の女主人マリアの歌には痺れた。辛辣な身の上話。
つっけんどんな態度とそれでも優しくユーモアに溢れて的確に導いてくれる素敵な人。
多数いる子供の中で唯一「愛してる」と言わなかったクラウディア。
形式だけの上塗りの言葉を嫌がる彼女の腕に刻まれた深い情にハッとした。言葉より行動、キスよりタトゥーとお金を。
なかなか素直になれないアブラハムが以前の発言を謝罪したうえでお金を求めた時、彼女は傷ついたような顔をしていたけど大丈夫だろうか…。
でも特に詳しく聞かずお金を貸したことから、父に対する信頼と愛情が表れていたのかもしれない。
ナチスのユダヤ人迫害を身をもって体験したアブラハムにとって最も忌まわしき地であるドイツを通る際のくだりがとても好き。
多言語を扱うドイツ人学者のイングリッドにいくら親切にされようと、その国籍だけで拒絶の意を示してしまうアブラハム、頭では分かっていても感情が付いていかないんだろう。
額にキスされた時の驚いた顔が好き。言葉より行動、説得よりキスを。
ドイツの地を踏まないための策、あまりに単純でおかしくて、それが異様に胸に刺さって大泣きしてしまった。
敷いたイングリッドの服をたたむところに敬意と謝意が表れている。
そして自らの悲惨な体験を少し聞かせるとき、ちらほらと過去の映像を挟み込んでいたのでここも回想の映像が入るかと思いきや、彼の言葉だけでサラッと聞かせる演出にやられた。聞いた話じゃない、この目で見たんだと。
話を終えて次の電車に乗るときはきちんと地を踏んで歩くアブラハムにまた涙腺崩壊。
ドイツ人のイングリッドと心を通わせたことで何か小さな変化が起こり、過去をきちんと踏みしめて進むことができたことに感動した。
とはいえトラウマとは簡単には離れないもの。
電車内で過去の幻覚を見て倒れしまうのも致し方ないのかもしれない。そもそも体調が良くはないのだから。
ワルシャワの病院で出会った看護師ゴーシャはまた親切で優しい人だった。
ゴーシャを連れて70年ぶりのポーランドはウッチの街に来たアブラハムの緊張に溢れた顔付きに、自分もどんどん緊張して身体が強張ってくる。
街並みは変わっていてもかつての家の周りはそのまま残っていて、家の扉も使用人室の入り口もそのまま。
しかし住む人もそのままとはいかないのも現実。
会うのも会えないのも、ただ怖い。
親友ピオトレックとの邂逅、その見せ方があまりにも上手くて最後に大号泣してしまった。
一度ガッカリさせてからの窓越しの不意打ちはずるい。最高です本当にありがとうございます…。
多くを聞かず、70年寄っていなかった場所へ「家へ帰ろう」と言ってくれるピオトレックの言葉は、家を売られて老人ホームに入居予定で帰る家を見失ったアブラハムに大きく響いたと思う。
二人が家に入って、ゴーシャがその場を去って終わりの構成にじれったく感じるのもまたニクい。
その後のことを色々考え巡らせるのが止まらない。
アブラハムとピオトレック二人で余生を楽しく生きていくんだろうか。
ワルシャワの病院に通いリハビリを続けながら。
そして家出に残された家族たちはどうしているんだろう。クラウディアから連絡は行っているだろうけど。
クラウディアに関しては、お金を貸した時の事情が後からきちんと説明されているといいな。
さすがに会う人会う人が不自然なほど旅を支えてくれるので、あまりに綺麗に収まりすぎてこんなことあるかね!と思ってしまうけど、それがこの映画の醍醐味なのでは。
亡くなった友人の形見を常に身につけているアブラハムから彼の人情が垣間見えて、癖はあるけどそういうところが無意識に人を惹きつけるのかなと思った。
さすがは仕立て屋、アブラハムのファッションが非常にお洒落で眼福であった。
派手なスリーピースにハンチング、スカーフ使いも完璧。飛行機で寝る際、ハンチングを頭に敷かないで大事そうに抱える姿が可愛い。
はるばる届けたスーツは「別れの際に渡された型紙」を使って仕立てたとのことで、おそらく今のピオトレックの体型には合わないと思うんだけど、二人の家の壁に大事に掛けてあったりしたら良い。
自分が生きた証を示したい!
人生の終盤に、果たしていない約束を守るために
1人、ブェノスアイレスからデンマークへ
いろんな困難や出会いがあり
ようやくたどり着く
その先に何があるのか?
重いテーマを笑いも交えたロードムービーだ!
癖があるけど憎めない
主役の老人が、意地悪だったり口が悪かったり意固地だったりしますが、憎めないチャーミングな老人です。
主題は、老人の人生の終わり方だったり、ホロコーストだったりするのですが、明るく笑顔になる部分も多かったです。
良い意味で説明がなく、登場してくるキャラクターが、なぜそんなことをしたのか、どういう気持ちなのかを想像できるのは良いことだと思う。
最後は感動的でしたが、予想通り?なのでちょっと物足りないかなぁ。
そりゃ泣くよね
主人公が道中で出会う人たちは、フランス人もドイツ人もポーランド人もみんな優しい。過去に何があったかも知っていて、その上で未来を築こうとしているし、過去にも向き合っている。主人公もそれは分かっているが、70年経っても戦争の記憶は彼を苦しめ続ける。故郷の名を口に出せないほどに。聞いた話じゃない、この目で見た。その目で見てしまった光景は、ふとした拍子に蘇ってしまうのだ。具体的な戦争描写はほとんどないが、これほど戦争の悲惨さを伝える映画もそうないだろう。親友に会えた彼が、少しでも苦しみから解放されることを願って止まない。
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