「おうちに帰れた」家(うち)へ帰ろう talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
おうちに帰れた
最初のシーンは「屋根の上のバイオリン弾き」の世界だった。音楽、ダンス、バイオリン、帽子。映画もミュージカルも含めて何十回も見たから懐かしかった。
リア王みたいな話になるのかなと心配したけれど、杞憂だった。アブラハムは食えない爺です。でも大好き。孫娘と真剣に取り引きして、してやられた!それを誉めるおじいちゃん。
アブラハムは自分のしたいことが明確にわかっていてそれを貫く強固な意志があって、頭が良くてすぐ取り引きしたがる。飛行機の中の「ミュージシャン」とのやり取り、確信犯で成功!マドリッドのホテルの宿泊料交渉!お前がなんで30人連れた添乗員なんだー!スペインの女性には負けた!でも、彼女の色気と可愛い焼き餅と彼女の昔の夫達の話を引き出したことに、アブラハムの魅力も関係してるに違いない。
アブラハムが自分の足できちんと立つ自立した大人で、お洒落で素敵にスーツを着こなしている魅力的な人だから、男性も女性も手を差し伸べる。
ドイツ人女性が文化人類学者というのはすごく受けました!世界中のどんな辺鄙な所に行っても必ず居るのがドイツ人と言われているので。
絶対に足を踏み入れたくない国。駅のホームのアブラハムの様子は、何だかほんわかしてかわいらしい雰囲気だった。辛い話をしているのに。列車に乗ってからは本当に辛かった。コンパートメントに居ればドイツ語が聞こえてくる、一等車両に迷い込んだら今度は禍々しい幻影。
ポーランドは特に激しかった。子どもや若者対象の強制収容所があった。ポーランドとドイツの関係は今でも難しい。いい関係ももちろんあるけれど。
「ミュージシャン」の青年、マドリッドのホテルの女主人、アブラハムと同じ数字の入れ墨を腕にしていた娘(この娘が、リア王的に言うと末娘かな。アブラハムはこの娘にちゃんと謝った)、パリで出会った文化人類学者、ワルシャワの病院の看護婦さん。アブラハムは自分の願いを素直に口にできる。だからみんな助ける。ユダヤの人の逞しさの前には頭を垂れることしかできない。
コロナが収まったら行きたい所が少しずつ増えてきた。アブラハムが親友と一緒に居る「おうち」があるウッチにも行きたい。ワルシャワから約130km、ポーランドのほぼ真ん中。素晴らしい建築の街、繊維業で豊かだった街、文化の街、ポランスキーやワイダが通った映画学校がある街。
お星様の物語を上手に語った可愛い可愛い妹のことを、悪夢でなくて幸せな夢の中で見て欲しい⭐️
手紙いいですよね。
仕事とか家事の現役中は、手紙書く気になかなかなれませんが、ある程度リタイア生活になったら、効率化なんて概念とは無縁なので、何枚も失敗して書き直しながら心を込めて書くのもいいですね。
相手のことを時間をかけて思い続ける時間って、なんて素敵なんでしょう。
talismanさんのレビュー拝見してたら、変なこと、だけど、意外と真面目に語りたいことが浮かんできました。
このジーさんのようにヤンチャだけど自立した高齢者が100人中3人くらいいる社会だったら、捨てたもんじゃないような気がしてきました。あとは、中国の古事成語に出てくるような物事を透徹して俯瞰的に見えている成熟した大人(こういう時はタイジンと読ませるんでしたっけ?)が1000人中2人くらい欲しいところですが、今の永田町にはひとりもいなそうで心が折れそうです。
今晩は
この作品は、頑固なお爺さんアブラハムが相棒ツーレスと共に老人ホーム入所を拒否し、様々な人の善意(含む、ドイツ人:ココが重要だと思いました。)により、若き頃ナチスから、自分を匿ってくれた友人(生死不明・・・)に自ら仕立てたスーツ届けるために、数十年ぶりに訪れる・・。
多国籍の人々の情けが染みるシーン多数の、ロード・ムービーとしても十二分に面白く。
あの、ラストシーンの前のドキドキ感と、その後に訪れた多幸感は忘れ難い作品でした。(あのシーンで、涙を流さない人っているのでしょうか?)
”私は泣いていないからね!”という顔をしながら、勿論パンフレットを購入したのは、言うまでもありません。
では、又。
今晩は。お久しぶりです。
プレッシャーをお掛けする積りは毛頭ありませんが、是非レビューをお願いします。
私は、この作品、とても好きなのです。
あの”ある土地を踏まずに”故郷の大切な友人に会いに行こうと決意するアブラハムの姿、それを支える多くの善意。
ラストは、落涙しました・・。今だに、詳細まで、良く覚えています。
では、又。
みられたのですね!!
最初はちょっと取っ付き難い爺さんだったけど、抱えた境遇と思いにみせられて、そして出会う人たちの察しと優しさがとても素晴らしく、ハマりまくりでした。