「孫が描いたホロコースト」家(うち)へ帰ろう odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
孫が描いたホロコースト
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脚本・監督のパブロ・ソラルスさんが語るには祖父は主人公アブラハムと同じポーランド人、母方の祖父はユダヤ人だったそうだ、ナチスの迫害から命からがら国外へ逃げ延びた思い返すのも辛い過去、それについて語ることはなく家でも出自を口にすることはタブーだったという。長じて歴史を学ぶにつれ映画に刻むことへの使命感のようなものに突き動かされたようだ。
戦後、ホロコーストを扱った映画は数多いが老人の一人語り、ロードムービーという形で切々と苦悩の過去と現代を対比させて描きながら、ユーディッシュ独特の商才、抜け目なさも添えているところがクールな印象を持った。
遠くの親戚より近くの他人と言うことわざがあるが老人を助けてくれる同情的な人々と冷たい娘たちが対比的に映るが疎遠だった筈の娘が父と同じ刻印をあえて腕に入れていたということは父の痛みを一番知っていたことの証なのだろう、繊細な演出でしたね。
総じてみればブエノスアイレスからワルシャワまで足の悪い老人の一人旅に添わされるのはハラハラしどうしで疲れました、それでも目が逸らせなかったのは軽薄ながら幸いにして圧政の無い恵まれた時代、境遇に生まれた者としてのある種義務感のようなものだったのかもしれません、心にゆとりのある時のご鑑賞をお勧めします。
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