「邦題がラストの感動を一層深いものにした」家(うち)へ帰ろう ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
邦題がラストの感動を一層深いものにした
監督の祖父の体験を基に作られた本作は、軽妙でありつつ人生の侘び寂びを感じさせる。アルゼンチンから遠く離れた故郷のポーランドまで旅をする老人が、道中様々な人物と出会う。ポーランドへ陸路で向かうためにはドイツを通らねばならず、ユダヤ人である彼は、なんとかドイツを経由せずにポーランドに入る方法を模索するが、そんな道はない。絶対にドイツの地に足を踏まない決意の彼に、あるドイツ人女性の取った行動はに驚かされる。自国の加害の罪を背負うというのは、ここまでせねばならないことなのか、と複雑な気分になりつつも、勇気ある行動とも思う。
原題の「El ultimo traje」は最後のスーツ、という意味。個人的には邦題の方が好きだ。最後のスーツよりも、前向きさな印象を与えるこの邦題がラストの感動を一層深いものにしてくれたと思う。邦題は良く批判されるが、秀逸な邦題もたくさんある。
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