劇場公開日 2018年12月22日

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「約束と邂逅の旅」家(うち)へ帰ろう ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5約束と邂逅の旅

2019年1月31日
iPhoneアプリから投稿

アブラハムは、どんな青の、どんなデザインのスーツを仕立てていたのだろう。

でも、なぜ、70年もの長い年月が必要だったのだろうか。
頭から恐怖が離れなかったのだろうか。
いや、きっと、助けてもらって、生き延びて、一生懸命働いて、そして、長生き出来たことも伝えようと心に誓っていたのではないか。

殺戮から生き延びて家に帰ってきた道と、今回家に辿り着く道が逆の方向で、最初に逃れて帰って来た道の方の門が閉ざされていたのも象徴的だ。
もう、恐れることはないのだと語りかけているようだ。

シンドラーや、杉原千畝、ワルシャワの動物園は多くのユダヤ人を救ったとして語り継がれているが、きっと、アブラハムの友人のように、善意で匿ったり、必死に介抱したりしてユダヤ人に手を差し伸べた人もたくさんいたはずだ。
この映画は、そうした人々に向けた、あなたの助けた人々はきっと頑張って生きたというオマージュでもあるような気もする。
アブラハムの旅の途中のちょっと滑稽な邂逅も、手を差し伸べてくれる友人はそこかしこにいて、まだまだ素晴らしい出会いがあるのだからと、もっと生きろという、アブラハムに対するメッセージのようにも感じられる。

僕たち日本人にも忘れてはならないこと、繰り返してはならないことがある。

看護師が、形は違っても、神様は一人だと言っていた。
僕は、それは一人ひとりが持っている良心や、勇気や、道徳心や、そうしたものの塊だと思う。

友人の為に仕立てはスーツは、どんな青なのだろうか。明るい青だろうか。ダークブルーだろうか。ストライプはあるだろうか。三揃いだろうか。でも、アブラハムが着ていたようなスタイリッシュなスーツには違いない。

さあ、家に帰ろう。そして、スーツを着てみよう。

ワンコ