「戦後もホロコーストに振り回された人生を過ごした、ひとりの老人の物語。」家(うち)へ帰ろう 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
戦後もホロコーストに振り回された人生を過ごした、ひとりの老人の物語。
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相変わらず邦題のミスリード。原題「El ultimo traje」を訳すと「最後のスーツ」なのに。この方がラストの感動が増すもの。この邦題だとどこか暢気さが漂い、気まま勝手な頑固爺さんの放浪記ととられかねない。そんな気はないと言われても、僕は「茶化すなよ」という気分になっていた。
もちろんそんな気楽な決意でないことは、爺さんの言動を追えば十分理解できる。悪くした足に愛称までつける茶目っ気をもちながらも、「ポーランド」を口にすることさえ嫌う執念も捨てない。そんな彼は、自らの人生の”終活”として、その怨嗟の感情の対象であるポーランドへ向かう。
行く先々で出会う素敵な女性たちの助力に心温まり、それゆえに感動のラストがとても身近い思えて感涙にひたった。
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