劇場公開日 2018年12月22日

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「70年越しの奇跡に涙…!」家(うち)へ帰ろう ガーコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.570年越しの奇跡に涙…!

2018年12月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

幸せ

戦争で受けた心の傷は、沢山の楽しい記憶で塗り固めても、消えることはないんだと悟りました。

孫もいて、沢山の家族もいて、何不自由もない暮らしを送っていても、後悔の思いは消えることはない…。
戦争の苦しみはそれほど酷く、心の奥に刻まれ続けているのでしょう。

しかし、それと同時に戦後彼を介抱してくれた、幼馴染の青年への感謝の気持ちも、ずっと変わることなく、彼の心の中に残り続けているのも印象的。

自分を助けてくれた命の恩人へ感謝の気持ちを伝えるために、自分の仕立てたスーツを持って、ブエノスアイレスからポーランドへ向かう老人は、再開できるのか?

途中、大嫌いなドイツの土地を経由しないとポーランドに到着しないこと知った彼。途中駅で足踏み状態になってしまう姿が悲しい…。
戦争が終わっても、ユダヤ人を根絶やしにした、ドイツの忌まわしい記憶が離れられない彼にとって、その土地を踏むこと事態も心許せない行いということなのでしょう…。

そして、どうしても足を地につけたくない彼は、自分の衣服を地面に敷いて駅のホームに降り立つほどの強硬手段に。
本来だったら笑えるシーンなのかもしれませんが、そんな真剣な彼の姿を見たら涙が出そうになりました。
両親や幼い妹まで殺された彼にとっては、どんなに優しいドイツ人がそばにいたとしても、ドイツ嫌いを変えることはできないのだと思います。

私の父も未だに中国人を嫌っていますが、やはり戦争というのは、一つの人種そのものを嫌ってしまえるほどの破壊力を秘めているのかもしれませんね。

時を超え、平和を願い続ける今こそ、偏った考え方の人が一人でもいなくなり、いつか世界中の人が人種差別しないような世界になればいいなと思いました。

病気の体に鞭を打ちながら、故郷ポーランドに降り立つことができた老人。
過去と未来のポーランドの街並みの変化が、何故だか残像のように目に焼き付いて離れなくなりました…。

ガーコ