劇場公開日 2018年6月16日

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「何かがおかしい、で始まる予測不能のドラマ」母という名の女 MPさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5何かがおかしい、で始まる予測不能のドラマ

2018年6月20日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

怖い

何かがおかしい。自宅の寝室で昼間から快感を貪り合う若い男女の声。ことが終わると裸のままキッチンに歩み出てくる少女。それをたた呆然と眺めている彼女の姉妹とも、使用人とも取れる女性の無表情。それらが何を意味するかは、やがて、彼女たちの前に現れる"母親"の信じがたい行動と、やがて訪れる意外な結末を目の当たりにする時、観客は思い知るのだ。人は自分の欲望にのみ忠実に生きるとどうなるか?という、舞台となるメキシコに限らず、地球上に暮らす人間すべてに有効な教訓を。説明を極力排したミシェル・フランコ監督の演出は、サスペンスから社会派へ、さらにアイロニックな人間ドラマへと、映画を次々変身させていく。その予測不能な展開の面白さは、もしかして上半期随一かも知れない。

清藤秀人