劇場公開日 2018年6月16日

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「母という名のメス」母という名の女 shironさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0母という名のメス

2018年6月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

竹内久美子先生の動物行動学によると、メスには「良い遺伝子を残す!」という本能があるようです。
ただ、良い遺伝子は競争率が高い。
秀でたオスの遺伝子をゲットする為に自分を磨き、
今よりも良い遺伝子が得られるとなると、浮気はもちろん、古いオスや子供を捨てるのなんて平気です。
そして、良い遺伝子さえ貰ってしまえば、オスは用無し。
子供を産んで育てる為に役立つならまだしも、イザという時に守ってくれる強さもなく、日々の糧を調達してこられないようなオスとは一緒にいるだけ足手まとい。
せめてカマキリのオスぐらいには役立ってほしいところ。
ああ、恐ろしい恐ろしい。

なので、“女性らしさ”や“母性本能”などという幻の固定概念を植え付けて、婚姻制度なんてもので縛り付けていないと、女は何をしでかすかわからない。
現代社会で、女性の活躍や自立が遅々として進まないのは、実は女がドライでエゲツない生き物だという事を男性諸君が学んだ末の自己防衛な気もします。

本作で描かれる、まだまだ女として現役気分の母親は、
娘が生んだ赤ちゃんを抱き、圧倒的な生命力に触れたことによって、自分のメスとしての終わりが近いことを感じ取ったように思いました。

本能が加速していく様は過激に見えるかもしれませんが、メスとしてしごく真っ当な行動。ラストを含め。

ただ、人間は社会性のある生き物として頑張っているので、本能全開で生きるのはハタ迷惑に他ならないのですが。σ^_^;

しかし、社会通念から解放されると、女はこんなにも自由に生きられるのか!

そして娘も、母という名の女(メス)になった。

追記:一番出来るメスは、従順なオスとの子供の間に、良い遺伝子の浮気相手との子供を混ぜて、一緒に育てさせるらしいですよ(*´꒳`*)

あと、ミシェル・フランコ監督の緊張感漂うシーン作りと、観客の興味を引きつける視線の誘導が大好きなのですが、ピントのボケた方へ視線が誘導されたのには驚きました。すげ〜(*⁰▿⁰*)
『或る終焉』同様、本作でも事前に計画がわかる仕様で、無理やり共犯者として引き込まれる刺激には中毒性アリ。私すっかりジャンキーです。(^◇^;)

shiron