「世界が広がる瞬間」ブリグズビー・ベア すっかんさんの映画レビュー(感想・評価)
世界が広がる瞬間
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○作品全体
世界の広がりというのは必ずしも物理的な広がりだけではない。自分の一部となっているものが自分の知らなかった何かに触れることで違う意味をもつことも世界の広がる瞬間だ。
監禁されていたジェームズがテレビを見たりパーティに行って様々なことに驚くシーンも面白いが、スペンサーとブリグズビーベアについて話したり、映画の特殊効果の存在に触れてブリグズビーベアへの考えが変わっていくシーンが興味深かった。自分の一部になっている作品を誰かと共有できる喜びみたいなものが、ジェームズの表情や仕草から伝わってくるのがとても良い。
作品全体で見るのであれば人の輪の広がりみたいなものが中心となっているのだろうけど、個人的には自分の内だけにある熱意を共有できた瞬間の喜びであるとか、意見交換によって熱意が次のステップへ発展していく様が素敵な作品だなと思った。ブリグズビーベアが嘘番組であったと一度否定されてもなお、好きな物は好きな物として自分の中に存在する心強さみたいなものを感じる作品だった。
○カメラワークとか
・序盤、初めて自室に入るジェームズのカットが良かった。余白の多い空間と胸から上だけ映るジェームズ。ここはジェームズの居場所じゃないというのがにじみ出てるような。
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