「『好き』という気持ちの暴走」ブリグズビー・ベア 財団DXさんの映画レビュー(感想・評価)
『好き』という気持ちの暴走
クリックして本文を読む
はっきり言って見る人を選ぶ映画だ。いいと思えるところも多くあったが、個人的にはストーリーがのみこめなかった。
主人公は20年以上も誘拐された青年で、本当の両親は犯人の2人を憎んで当然。しかも彼1人に見せるためだけの番組を制作していた。残念なことに誘拐した2人がなぜこの番組を作っていたのかが明かされない。彼への贖罪か、残された良心か、映像作品への情熱か。動機も分からなければ、状況が状況なだけに洗脳と言われてもやむを得ない。
主人公が誘拐した2人に面会して本心を聞く前に映画制作を始めても、とても違和感がありのみこめない。我が子を誘拐された両親が嫌悪感を示すのは人として当たり前の反応だ。刑事は彼のためになればと思い、苦肉の策として手を貸したのだろう。だが妹や世間がそれを受け入れるのが早すぎて不自然に感じた。拒否反応が出る人がいてもいいはずで、むしろ最後まで拒否する人が出てくれた方がリアリティがあって納得できたと思う。スーパーで『誘拐キッド』とかほざいてたやつはどういう神経してるんだ?隣に母親いるんですけど…。
作り手はおそらく『技術が高くなくても、歪な経緯で作られたとしても面白いものは面白いし、好きという気持ちは否定できない』と伝えたかったのだと思う。それには賛同するが、作品全体のバランスがどうにもリアリティに欠けていたように思える。決して悪い映画ではないのだが…。
コメントする